日本人女子プロが海外メジャーで活躍できている要因は?【女子プロのツアーコーチ座談会・24年振り返り③】
女子プロのツアーコーチである森守洋、柳橋章徳、大西翔太、中村修の4人が、もうすぐ終わろうとしている2024年の女子プロゴルフツアーの出来事を振り返る。 父と一緒に作り上げた“日本でいちばんいいスウィング”を持つ山下美夢有のドライバー正面連続写真(撮影/姉崎正)
2024年は6月2日に笹生優花が全米女子オープンで2度目の優勝を果たし、2位に渋野日向子が入る活躍を見せた。その3週間後、KPMG全米女子プロゴルフ選手権で山下美夢有2位に入る。そして7月半ばのアムンディ・エビアン選手権で古江彩佳がメジャー初優勝。年間で世界のメジャーに優勝者が2人、2位が2人という結果を見ても、日本人女子のレベルは世界の舞台で健闘という段階を優に越えている。 実際、前述の結果以外でも、シェブロン選手権では勝みなみが9位タイ。全米女子オープンでは古江が6位タイ、小祝さくらと竹田麗央が9位タイ。全米女子プロでは渋野と西郷真央が7位タイ。エビアンで岩井明愛が10位タイ。AIG(全英)女子オープンでは岩井明愛と西郷が7位タイと、5つのメジャーすべてで日本人女子がベスト10入りを果たしている。もはや、メジャーで誰が優勝しても驚きはない。 2025年の米女子ツアーの賞金総額は約203億円。一方、日本の女子ツアーは約44億3500万円で、日米の差は約4.5倍。今季、挑戦する13人の日本のトッププレーヤーたちは、何が欲しくてアメリカを目指すのか。また、日本人女子プロがメジャーで勝てるようになった理由を考察した。
森: たぶん、アメリカツアーに行ったことがある人はわかると思うけど、観客は本当に少ないんだよね。その意味じゃ、女子ツアーで世界一成功しているのが日本なんです。1番人気があるツアーなのに、いつの間にか賞金額は5倍近くの差をつけられている。 柳橋: まだまだ日本のツアーも伸び代があるということでしょうか? 森: そうそう。 中村: じゃあ彼女たちは何で米ツアーを目指すのか、ということなんだけどね。 森: 5倍の賞金額の差が開いちゃうと向こうでやったほうが稼げるので“賞金”というのは大きいとは思います。でも行こうと思っている選手はお金じゃない。渋野選手がメジャーで勝ったのを見て、自分もより上を目指そうっていう。 大西: 世界のメジャーで勝ちたいっていう気持ちが強いんでしょうね。 森: それが大きいよね。 中村 宮里藍選手が『夢』と掲げて実現できなかった全米女子オープンの優勝を、笹生優花選手は既に2度も果たしているわけでしょ。メージャーチャンピオンもこの5年で3人ですよ。日本人がメジャーで勝てるようになったのはどうしてだと思いますか。 森: (2006年に)USLPGAツアーに藍選手が出るようになって、それでも全米女子オープンには勝てなくて。他の選手もUSLPGAツアーに挑戦という流れはあったけど、誰も壁を壊せなかった。そんな中で、渋野選手がぶっ壊して全英女子で勝った。そしたら周りの子たちが、「渋野選手が勝ったんなら自分もいけるかも」っていう思考が脳の中で生じた。そのマインドを持つ選手が渋野選手に続き、続々とメジャー優勝に繋がったわけんだと思いますね。
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