亡くなった母が私のために「500万円」を残してくれていました。このまま受け取ると贈与税はかかりますか?
母親が亡くなってから子どものための貯金を見つけるケースはゼロではありません。死後に見つかった財産は、贈与ではなく子どものためとされていても相続財産としてほかの財産と合計されるため、注意が必要です。 また、生前でも受け取ってから亡くなるまでの年数によっては相続税の対象になります。相続税の申告時に忘れないようにしましょう。 今回は、母親が亡くなったあとに見つかった500万円にかかる税金や、もし生前に受け取り贈与税が発生した場合の税額などについてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
亡くなったあとに見つかった財産は贈与税ではなく相続税の加算対象になる
亡くなったあとに見つかった財産の取り扱いで特に注意したいお金が、ほかの人の名義で故人が管理していたお金です。それには娘名義で亡くなった母が貯めていたお金も該当します。 この場合、名義の口座に貯められているお金は名義人のものではなくお金を管理していた親の財産として扱われるため、相続したほかの財産と合計したうえで相続税の計算が必要です。個人名義の口座以外にも、亡くなった方のタンス貯金や家族名義の株式なども相続財産として扱われます。 相続税の対象となる金額は、相続する人数によって変動します。法定相続人の人数に応じて控除額が変わるためです。もし母親の財産を相続する人物が娘一人だけのときは、控除額は3600万円となるため、相続した財産の合計額が3600万円以内なら相続税はかかりません。 例えば、相続人が娘一人で母が亡くなったあとに見つかった500万円のほかに、財産を4000万円相続していたとすると、合計の4500万円から控除額を差し引いた900万円が相続税の課税対象額です。 ■生前の贈与もタイミングによっては相続税の対象に たとえ亡くなる前に贈与されていても、亡くなる3年以内に受け取っていると相続財産としてみなされるため、相続税を計算するときには注意が必要です。また、令和6年1月1日以降に受け取った財産は、3年ではなく7年以内が期間として定められています。 なお、贈与されたときに納付した贈与税額分は、相続税の計算から控除できます。 生前3年以内、令和6年1月1日以降では7年以内に受け取った財産は、課税対象かどうかにかかわらず相続税の課税対象です。 例えば、亡くなる2年前に500万円の贈与を受け取っていれば、亡くなったあとの相続財産に500万円がそのまま加算されます。 一方、本来なら贈与税の非課税金額である20万円を、亡くなる2年前に受け取った場合も、相続税を計算するうえでの相続財産に加算しなければなりません。 ただし、贈与の種類によっては加算されないケースもあるので、税務署などに確認しておきましょう。