USスチールの生産能力削減、米政府に拒否権 日鉄が提案と米紙報道
日本製鉄の米USスチール買収について、米紙ワシントン・ポストは12月31日、USスチールの生産能力削減に対して、米政府に10年間の「拒否権」を持たせることを日鉄が提案したと報じた。米政府側が抱く鉄鋼生産量の減少や雇用減といった買収に伴う懸念を拭うねらいとみられる。 【写真】USスチールのエドガー・トムソン製鉄所=2024年12月13日、米ペンシルベニア州、真海喬生撮影 報道によると、日鉄は12月30日付で米政府に書簡を送った。その中で、USスチールのペンシルベニア州やインディアナ州、アラバマ州などにある工場の生産能力を今後10年間、米政府の承認なしに減らさないことを保証すると提案したという。日鉄は買収後に設備改修などに27億ドルを追加投資すると表明しているが、今回の提案を実現するためには、さらに「何十億ドル」もの投資が必要になる可能性があるという。 買収案を国家安全保障の観点から審査してきた米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は12月23日の期限までに結論を出せず、買収の是非についてバイデン大統領に判断を委ねた。米メディアによると、CFIUSは買収に伴う鉄鋼生産量の減少が安保上のリスクになると指摘した。
朝日新聞社