若い力が躍動、大盛況だった「ツアー・オブ・ジャパン」野島裕史&大会組織委員会委員長・栗村修「前半4ステージ」を振り返る
◆今年のTOJは若い力が躍動!歴史上初の出来事も!
野島:続いて3つ目をお願いします。 栗村:“普段は総合争いが始まらない、いなべステージで大きな戦いが生まれる!”です。「ツアー・オブ・ジャパン」は8日間の総合争いで、第5ステージの信州飯田ステージから(熾烈な競争が)勃発することが多いんですけど、今年は僕がイメージしていた若い力だったり、前に前に積極的にいく貪欲に走るレースがこの第3ステージで早くも見られたんです。 優勝したのはJCL TEAM UKYOのジョバンニ・カルボーニ選手で、いわゆる逃げ切り、集団が追いきれなくて逃げ切ったというよりも、強い選手が引きちぎった形で先頭集団を作り、そして逃げ切るというレースになりました。なので、今まで一度も見たことがないようないなべステージでした。 レース全体も“イナベルグ”という急坂区間があるんですけど、ファンのみなさんにも浸透してきましたし、そしてシェロンという集団が斜めになる形状が日本レースではあまりできないんですけど、それがここでできたりとかして本当に見応えのあるレースでした。 野島:いなべステージの新たな一面が見られたと。 栗村:そうですね。自転車レースというのは、コースをキツくするとレースもキツくなると思いがちなんですけど、レースを作るのは選手自身なんです。 だから、一見イージーなコースでも選手が激しく走れば見応えのあるレースになるし、キツいコースでも選手が守りのレースをするとまったりしたレースになるんですよね。今回は本当に全車激しいレースになりました。 野島:これも自転車ロードレースならではの展開だったということですね。それでは最後、4つ目をお願いします。 栗村:“第4ステージ、美濃ステージで繰り広げられた、親子のドラマ!”です。美濃ステージもいなべステージと一緒で逃げ切りはないんですよ。そんななか、歴史上初めて前半から飛び出して長く逃げた選手の逃げ切り勝利が起きたんです。 野島:なるほど! 栗村:優勝したのはオーストラリアのジョシュア・ラドマン選手で、実は今回は彼のお父さんも帯同して来日していたんですね。で、このジョシュア選手、19歳なんですけど、今回UCIレース初出場初勝利だったんです。 京都ステージでは彼のチームメイトのひとりが残念ながらリタイアしてしまったんですけど、そのチームメイトがフィニッシュ地点で彼を待っていて、さらにはお父さんもいて(優勝した瞬間に)お父さんが号泣。 その模様がXでバズって、海外の方からは「僕は彼ら親子のことは知らないけど、同じ父親として最高の動画だ!」みたいなコメントがあったんです。TOJのニュージェネレーションの活躍がそうした形で世界に発信されたり、何よりオーストラリアの親子が泣いてくれたっていうのが僕のなかで本当に嬉しかったですね。 野島:今回はまさにニュージェネレーション感満載といった感じですね。 栗村:特にこの美濃ステージは、江戸時代の情緒を残した街をスタートして、若者が活躍するっていう、この新旧な感じも……なんかもう楽しくなってきちゃった! 野島:盛り上がってきたところですが、後半の4ステージは次週に持ち越したいと思います。栗村さん、毎度のことになりますが来週もよろしくお願いします! 栗村:いいとも! (TOKYO FM「サイクリスト・ステーション ツアー・オブ・ジャパン」2024年6月16日(日)放送より)