若い力が躍動、大盛況だった「ツアー・オブ・ジャパン」野島裕史&大会組織委員会委員長・栗村修「前半4ステージ」を振り返る
◆京都ステージで起きた“おじさん事件”とは?
野島:改めまして、5月19日から26日の8日間、8ステージでおこなわれた『ツアー・オブ・ジャパン2024』。ここからは前半ステージ、堺、京都、いなべ、美濃の4ステージで栗村さんが最も印象に残っているシーンや出来事を発表していただきたいと思います。まずひとつ目をお願いします! 栗村:「雨のなかで若者が輝く堺ステージ」です。 野島:確かに雨のなかでのスタートでしたね。詳しく教えていただけますか。 栗村:今年の「ツアー・オブ・ジャパン」は“TOJニュージェネレーション”という新しいキャッチフレーズで中期計画が始まった1年目なんですけど、第1ステージの前に顔見せ的におこなわれたクリテリウムレース「堺国際クリテリウム」で、地元の「シマノレーシング」の若者2人が飛び出してワンツーフィニッシュを飾りました。 この2人は大会に縁があって、優勝した山田拓海選手は第5ステージ・信州飯田ステージがある飯田市出身。そして、2位の寺田吉騎選手はシマノレーシングの地元・堺で活動しており、彼は大会前の記者発表で今大会注目の選手、4名のうちの1人と紹介されていたんですね。 我々はもちろん知っているんですけど、まだまだネームバリューがない選手だったのですが、記者発表に呼ばれたことで力に変え、自転車の街・堺で輝いてくれました。この堺ステージは、イギリスの若手マックス・ウォーカー選手がぶっちぎりで優勝。雨のなかで若い力が躍動した、そんなレースでした。 野島:今大会の盛り上がり、若手選手の活躍が予感できるファーストステージでした! まさにニュージェネレーションで始まったということですね。ありがとうございます。それでは2つ目、お願いします! 栗村:「京都ステージの表彰台で起きた、おじさん事件!」です。 野島:これはなんでしょう? 詳しく教えてください! 栗村:第2ステージは京都、けいはんな地区でおこなわれ、フィニッシュ地点も非常に美しい景観でした。優勝したのはJCL TEAM UKYOのマッテオ・マルチェッリというイタリア人選手でした。 この日のステージレースには4枚の特別賞ジャージがあって、一番名誉があるのは(総合時間トップの)緑色なんですが、23歳以下で緑色に値する総合時間トップの選手は白いジャージが着られるんですね。 で、今回その白いジャージを獲得したのは先ほど話した寺田吉騎選手だったんですけど、突如「新人賞のプレゼンターをお願いします」と言われて。僕は今まで一度も経験したことがないんですけど(プレゼンターを)やることになったんです。 野島:ちょっと意外なんですが、プレゼンターは初だったんですか? 栗村:初ですね。委員長という役職は本来そういうことをやるのですが、僕は現場を駆けずり回るタイプの委員長なので。それで、寺田選手と何かやるということになって、普通はジャージを選手に着させるのが僕の役割なんですが、とりあえず僕が1回着てみたんです。 野島:おじさんが新人賞ジャージを着ちゃったんですか(笑)。 栗村:これが本当にスベりました(苦笑)。寺田選手のせいにするつもりはないんですけど、裏では盛り上がっていたんですよ。「栗村さん、それ面白いですね!」って。僕は(寺田選手が)何かツッコんでくれると思っていたんです。「違う違う! 俺、俺!」とか。でも、(ツッコまれることもなく)僕が普通にジャージを着る感じになっちゃって、お客さんにもボケだということが伝わらず……自転車レースでいうと大落車でした(泣)。 野島:それは大変でしたね。でも、どうやって回収したんですか? 栗村:いや、回収のしようがなくて転びっぱなし……もう事件でしたね。ただ、京都ステージの公式X(旧Twitter)には各賞の写真が全部ポストされていて、それぞれ自治体の首長さんとかが選手にジャージを渡しているんですけど、新人賞だけは僕がジャージを着ている写真が採用されていたので、それを見てちょっと救われました(笑)。 野島:記者の方だけはそのボケがわかっていたんですかね(笑)。 栗村:分かっていたのか、本当に僕が(新人賞を取ったと思ったのか)……。