[山口県]脳出血乗り越えラーメン店再開 下関・豊浦「楽’」の今橋さん
下関リハビリ病院の就労支援プログラム受講
下関市豊浦町川棚でラーメン店「楽’(らくてん)」を営む今橋利之さん(51)。今春に脳出血で倒れたが、リハビリ病院の就労支援プログラムでラーメン作りの訓練に取り組み、7月に店を無事再開させた。「またラーメンを提供できることがうれしい」と喜びを語る。 3月下旬、自宅敷地内を歩いていた時に突然バランスを崩して倒れた。異変に気付いた家族が救急車を呼び、救急搬送されて入院。命に別条はなかったが体の左半分にまひが残り、左手足の力が入りにくく、感覚障害などの後遺症があった。 半月ほど入院した後、下関リハビリテーション病院で就労支援プログラムを受け、職場復帰を目指すことになった。同プログラムは、復職や再就職を目指す患者一人一人の状況に応じ、身体機能の回復を図るほか実際の職場の動作をシミュレーションしながら、具体的な就労スキルをつける。今年4月に開始し、今橋さんは最初の受講患者となった。 リハビリでは、「エンマ棒」を使ってスープ仕込みの動作や、商品を運ぶ動作などのメニューが取り入れられたほか、病院スタッフの立ち会いの下で職場での仕込み作業も体験。復帰後のピークタイムを想定し、病院内で1時間半の間にラーメン40杯を作るリハビリにも取り組み、成功したことで「自信になった」と振り返る。 7月からまずは昼のみの営業で店を再開し、これまでと変わらない豚骨しょうゆベースの味とメニューを提供する。市内のラーメン店「楽」での修業を経て独立してから17年目を迎え、「やはり黙々と作業をするラーメン作りは自分に合っている。自力で働き、生きていける安心感がある」と話す。 下関リハビリテーション病院はプログラムを通じて、今後職場と連携した復職のサポートも目指す。ただ、企業側の理解や受け入れ環境が整っていなかったり、患者本人にも「職場に配慮を求めるのは申し訳ない」などと心理的ハードルがあったりと課題もあるという。 就労支援プログラム責任者の高尾祐輝さん(37)は「地域が一体となって就労を支えるシステムを整えていきたい」と語った。