琴桜、冷静に1敗堅持 トップ並走で折り返し 大相撲九州場所8日目
○琴桜(上手ひねり)●美ノ海(大相撲九州場所8日目=17日) 大関の冷静さが際立つ37秒の攻防だった。けんか四つの美ノ海と対戦した琴桜は、立ち合いでもろ差しを狙ったものの、右は差し切れず、すぐに上手を取る作戦に切り替えた。深い右上手を軸にじっくり構え、相手が左差しを嫌って体を沈めた瞬間に上手ひねりで転がした。 「落ち着いて取れていると思います。中途半端なことはしないで、目の前の一番にしっかり集中して対応しながら取れている」 師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が、息子でもある琴桜の取り口について「何でもできてしまう。右四つ、左四つ、もろ差し。自分と似ているところがある」と語っていた通り、この日はあえて相手の左四つで勝負を決めた。琴桜の相撲の幅は確かな強み。一方で、横綱を狙っていく過程で、必勝の型が確立されていくのか関心は尽きない。 1年納めの九州場所は、大関5場所目の26歳にとって、どんな意味を持つだろう。初優勝を目指し、まずは1敗のトップ並走で中日を折り返した。 審判長を務めた九重親方(元大関千代大海)は、優勝を争う3大関に関して「大の里、琴桜、豊昇龍。順番で言うとそんな感じかな」と、相撲内容が良く、1差で追う立場の大の里を一番に評価。「これからは緊張感が漂ってピリッとし始める。今は淡々と相撲を取っているけど、感情的になって、みんな雰囲気を出してくる。3人が共鳴し合うと思います」と緊迫した後半戦を期待した。(宝田将志)