2024年の景気、やや回復も「踊り場」が4割超える
(2024年の景気見通しに対する企業の意識調査)
2023年を振り返ると、5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、これまでの行動制限が撤廃され、本格的なポストコロナ時代が到来しています。 人出の増加とともにレジャー需要やインバウンド需要は国内消費をけん引するかたちで景気回復を後押し、半導体不足の緩和にともなう自動車生産の復調は国内景気を下支えしました。 さらに、全国的な公共工事の盛り上がりのほか、都市圏での大規模開発や地方での半導体関連工場の新設など設備投資も大きく動き出しています。 他方、原材料価格や生活必需品の高止まり、慢性的な人手不足などは景気を下押しする要因でした。加えて、厚生労働省が公表した10月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金が19カ月連続で前年比マイナスになるなど、依然として消費環境に厳しさがみられています。 TDB景気動向調査においても、企業から賃金の上昇が物価の高騰に追いつかず、消費者の節約志向の高まりを危惧する声が多数寄せられていました。 そこで帝国データバンクは、2024年の景気見通しに対する企業の見解について調査しました。
2024年の景気見通し、企業の4割超で「踊り場」を見込み、「悪化」は前年より5ポイント減少
2024年の景気見通しについて、「回復」局面と見込む企業は2023年の景気見通し(2022年11月調査)から1.3ポイント増の12.8%でした。企業からは「正常な経済活動に戻りつつあることは良い兆しだと思う。積極的な設備投資・事業推進を期待したい」(専門サービス)といった明るい声が聞かれました。 また、「踊り場」局面は42.1%と2年ぶりに4割を超えています。 他方、「悪化」局面を見込む企業は、同5.0ポイント減の20.3%と5社に1社となりました。企業からは「世界情勢・国内情勢ともに明るい話題がないため、マイナス方向に動く感じがする」(運輸・倉庫)や、「物価高騰、増税、人手不足、高齢者人口の増加、2024年問題など明るい材料が見当たらない」(建設)など先行きを不安視する声が寄せられました。