今さらですが「スープラ」と「Z4」は兄弟車!? トヨタとBMWが手を組んで「スポーツカー復権」への狼煙を上げたプロジェクトでした
直列6気筒エンジンが両社を結びつけた
トヨタとBMWの共同開発は、スープラ歴代モデルの伝統である直列6気筒エンジン+後輪駆動=直6FR方式の車両パッケージを実現するためだった。技術提携した翌2012年の当時、その直6エンジンを製造していた世界唯一の自動車メーカーがBMWだった背景も大きな要因であった。 かたやBMWの血統を受け継ぐ「Z」シリーズは、オープン2シーターのロードスターとして根強い人気を誇っていた。往年の「Z1」(1989~1991年・E30型)に始まり、「Z3」(1995~2002年・E36/7型)、Z3の後継モデル「Z4」(第1世代2002~2008年・E85/86型、第2世代2009~2016年・E89型、第3世代2018~現在・G29型)、「Z8」(2000~2003年・E52型)まで、歴代の車種ラインアップを展開してきた。 スープラは初代(A40/50型)から続くロングノーズ・ショートデッキのパッケージ、FR方式・2ドアクーペを継承する。ボディ剛性・軽量化を両立するCFRP(カーボンファイバー)素材を用いながら、車両の乾燥重量が1410~1530kgという先代(A80型)とほぼ同数値を実現。新世代のスポーツカーとして、開発コストの低減・効率化も考慮し、ベース車両のエンジンやシャシーなどプラットフォームをBMW Z4の第3世代(G29型)と共有。その製造・工場に関してもZ4と同じく欧州製で、オーストリアの自動車製造会社マグナ・シュタイアが生産を受託した。 こうしてスープラの製造事業はBMWで、トヨタは輸入販売元として位置付けられる。そんな共同開発・生産・販売の経緯からスープラは、Z4の兄弟車として見られているわけだ。 とはいえ開発の初期段階でプラットフォームの共有を決定した後、両車は別々に開発が行われ味付けされた。トヨタの社内カンパニー・GAZOO Racing(ガズー・レーシング)、およびスポーツモデル専用ブランド・GR(ジーアール)を冠した商品名は「GRスープラ」だ。GRブランド初の専売車種で、GRシリーズ初のグローバルモデルとして話題となった。