トランプ次期大統領、国連気候変動枠組み条約「パリ協定」から離脱か…デジタル課税の多国間条約が発効できない可能性も、10年かけた議論が水の泡?
トランプ大統領の就任で大混乱か?
OECDのMLCについて発効に悲観的な意見が増えてきました。しかしこの悲観論者は、UNFCCの出現で新しい国際課税の秩序ができるのではという予測をする者もいます。UNFCCの適用も難しいともいえるのです。 UNFCCの完成は2027年予定ですので、発効およびCOPはトランプ次期大統領の次の大統領の判断ということになります。仮にトランプ次期大統領がUNFCCの不参加を表明しても、2028年以降はどうなるのか予測できません。 焦点となるのは、2025年から2028年頃までの大手IT企業の課税問題です。市場国がDSTを課税し、米国がDST市場国の製品等の関税を引き上げて対抗することも予測されます。 UNFCCスタートの前の2023年11月に開催されたナイジェリア案「国連における包括的・効果的な国際租税協力の促進」の採決では、賛成125、反対48で日本は反対しています。 この状況から、UNFCCは国連モデル租税条約のように、途上国に有利な規定を含むことも考えられます。 では、日本はどうなるのでしょうか。日本はOECDに深く関与していたことから、UNFCC支持は難しいと思いますが、MLCが発効しない場合、DSTを導入するのか、UNFCCとの距離をどうするのかという難問に直面します。当分、この問題の推移を見守ることになりそうです。 矢内一好 国際課税研究所首席研究員
矢内 一好
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