定年退職後の健康保険の選択肢は大きく分けて4つある。どう選択するのが一番得なの?
「任意継続」と「国民健康保険」で保険料が少ないのはどっち?
先述した選択肢のうち、特に「1. 健康保険を任意継続する」と「4. 国民健康保険に加入する」のいずれを選択するかで、悩む方は多いものです。その選択のポイントは、保険料負担です。 在職中の健康保険料は労使折半ですが、任意継続を選ぶ場合、保険料は全額労働者自身の負担となり、在職時の2倍となります(ただし、この保険料には上限が設けられています)。 ちなみに、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、令和5年度の健康保険の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限を30万円として計算します。一方、国民健康保険の保険料は、前年の所得や世帯人数などに応じて決まり、保険料は自治体によって異なります。 例えば、「東京都杉並区に勤務していた、退職前年の給与収入が年600万円(月額換算50万円)である方が、60歳で退職した」という場合で、保険料を比較してみましょう。なお、世帯人数は2人で、うち片方は65歳未満で年収は0円であると仮定します。 協会けんぽへの加入を任意継続する場合、平均標準報酬月額は30万円を上限とするため、健康保険料は月額3万円(令和5年度)です。 一方、国民健康保険に加入すると、前年所得で計算されるため、保険料は月額5万1317円となります。任意継続で全額負担するより、年間では、国民健康保険のほうが約25万5800円高くなります。 次に、64歳まで働いた場合の保険料を比較してみます。例えば、同様に、64歳まで再雇用で働いていたときの給与収入を300万円(標準報酬月額25万円)とすると、65歳から任意継続で健康保険に加入する場合、保険料は月額2万6000円です。 一方、国民健康保険の保険料は、月額2万4067円となり、国民健康保険のほうが安くなります。 なお、住んでいる自治体によって、国民健康保険料は異なります。また、健康保険組合ではそれぞれ任意継続時の保険料を独自に算出しているため、どちらが安くなるかはそれぞれ計算してみないと分かりません。 退職前には、勤務先に「任意継続した場合の保険料」を確認しましょう。また、国民健康保険料は、自治体のホームページに保険料のシミュレーターがあれば利用しましょう。ない場合は、役所の国民健康保険の部署に連絡して保険料を確認することです。