こんなにレース初心者の女性が参加しやすいカテゴリーはない! 「マツ耐」に参戦した「女性ドライバーのみ」の3チームを直撃した
マツダの車両開発女子チームも参戦中
そして今回、最後に紹介したいのが「人馬一体RDCロードスター」の皆さんだ。これはマツダの車両開発本部に所属する女性エンジニアだけで結成されたチーム。10月20日に開催された特別戦の富士(これのみ5名まで参戦可能)と、11月10日の岡山ラウンドの2戦にエントリー。石川美代子選手/伊東景子選手/鎌田理紗子選手/酒井千尋選手/見森雅美選手という5名で富士に臨み、見森選手を除く4名が岡山にも参戦。参戦マシンは現行NDロードスターの市販状態に近いクラス5。人気のPR(パーティレース)車両と同じ規定のため、ダブルエントリーも目立つ激戦区を選んでいる。 その経緯について昨年の12月、彼女たちの所属部署のボスである京免 章本部長にお話をうかがうことができたので、報告させていただこう。 以下は京免本部長のコメント。 しばらく前からマツ耐に、役員や自分たち部長クラスが参戦するようになりましたが、「皆さん、ご参加ありがとうございます。自分たちも一緒に楽しませてもらいます」という感謝を込めたメッセージ性が軸にあるといっていいでしょう。一方で、今年から実現した女性チームのマツ耐への挑戦は別物で、少し先を見据えた大事な意味合いをもっていると思います。 自動車メーカーにとって開発ドライバーの育成はとても大切な要素です。マツダもいまは亡き片山義美さんの時代からトップガンの育成には注力してきたと認識していて、それをインタープロトへの参戦に繋げて9年目になります。ところが、歴代のインタープロト参戦ドライバー5名を含めて、いままでのマツダのクルマづくりは、どうしても男性が主体でした。 じつは弊社の運転スキルのランキングに5段階があるのですが、最初に思いついた2023年の秋の段階で、女性では最高が「3」で、それが6名というのが実情でした。全員が車両開発に関わっているメンバーではあったので、彼女たちにモータースポーツの現場を体験してもらうことで、次の段階に繋げたいと考えたのです。呼びかけたところ、そのうちの5名が手を挙げてくれたので、昨年末から今年のマツ耐参戦に向けたプロジェクトがスタートしました。 もちろん全員が日常業務をもっているので、スケジュールの調整も大変でした。それでもインタープロト参戦のトップバッターだった佐藤と、その3期生で現在はスーパー耐久で55号車のドライバーも務めている寺川を中心にインストラクターも選抜し、最終的には(スタッフを増やして)マンツーマンの体制も構築。社内の美祢試験場やタカタという広島のミニサーキットを利用して、月に2回程度、トレーニングを重ねてきました。 ここから先は彼女たちに聞いてもらえばいいと思いますが、最初は皆さん、忙しい日常業務のなかで「自分が迷惑をかけたくない」という不安のほが先に立っていた印象です。それでも「モータースポーツは楽しむことが一番大事」という当初の目的が伝わったようで、どうやら夏あたりからですが、明らかに表情や姿勢が変わってきたのを感じましたし、それを見ている我々も手応えを得られました。来シーズンも現段階では未定ですが、この経験はマツダの将来のクルマづくりに活かせると思っていますし、できれば継続したいと個人的には思っています。 と、このように京免本部長は女性エンジニアチームの意義を語ってくれた。 参戦した女性エンジニアの皆さんからもコメントを頂戴したが、京免本部長のいうとおりで、最初は「不安が9割、やってみたい気持ちが1割」という方もいたようだ。ところが訓練を重ねるごとに「少しずつ違いがわかるようになり、過程を楽しむことができた」という前向きな姿勢に変化。戦いを終えてからは「お客さまの熱を感じられたことで、改めてよいクルマを作っていきたいと思った」とか、「女性が無意識に取る行動や特性についても、ヒントを得られた」という前向きな感想をもらうことができたのは、意義あることだったと思われる。 この女子チームの参戦をはじめとして、2024年のマツ耐シリーズは大いに盛り上がった。2025年の開催日程もすでに暫定スケジュールが発表されている。それによると、年間6戦(そのうち4戦のポイントが有効)のシリーズに変更はないが、富士スピードウェイの特別戦がシリーズに組み込まれるために、九州・大分県のオートポリスでの開催がなくなるのは残念。北は北海道の十勝スピードウェイから西は岡山国際サーキットまで、全国各地を転戦するシリーズの概要に大きな変更はない。 筆者もシリーズ全戦の現場に顔を出しつつ、事情が許せば2~3回はチャレンジしてみようと思っているので、また新たな話題が見つかればご報告させていただこうと思っている。
石田 徹
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