日本株、いま「訪日外国人」に超人気、「日本食ブーム」の追い風に乗る「プロ厳選企業6選」を実名紹介
トリドールHD(3397)
■株価(6月21日時点終値)3550円 日本食ブームが続く欧州において、ロンドンを中心に拠点拡大を進めている。「丸亀製麺」の製法はロンドンっ子の胃袋もガッチリと掴み、6.95ポンド(約1200円)の並盛うどんは大人気だ。外食費が高騰する中、リーズナブルな価格設定として高く評価されている。2023年7月にはピザ店「フランコマンカ」を展開する英フルハムショア社を買収したことも記憶に新しい。欧州でのさらなる基盤強化に期待が持てそうだ。 2025年3月期より新規出店を加速させることで、前年比二桁ペースの売上増加を見込んでいる。国内では、「丸亀製麺」以外の他ブランドも絶好調だ。ラーメン店「ずんどう屋」やカフェ「コナズ珈琲」の店舗拡大を進めており、2028年3月期までに「ずんどう屋」200店舗、「コナズ珈琲」100店舗の達成を目指す。 国内外での店舗拡大とともに、収益性の改善も進める方針だ。直営店からフランチャイズチェーン(FC)形式への転換を進めることで、店舗網拡大に伴うリスク分散は期待できる。人材確保や資金調達などの負担を軽減できれば、海外でのブランド認知度の向上に注力しやすいだろう。
ホシザキ(6465)
■株価(6月21日時点終値)5053円 日系外食チェーンの海外進出拡大を追い風に、アジア市場での成長戦略を加速させている。豊富な手元資金と日本式のきめ細やかなサービスは大きな強みだ。現預金と有価証券の合計から有利子負債を差し引いた「ネットキャッシュ」は23.12期末時点で2545億円と、時価総額の約三分の一に相当する。資金力をバックに26年までの5年間で1750億円を成長投資に投じる計画を持ち、東南アジアでの製造拠点設立やM&A(合併・買収)による事業拡大を目指している。 また、国内シェア5割の製氷機、4割の冷蔵庫で培ってきた日本式のきめ細やかなアフターサービスも強みとなるだろう。バンコクに海外初の研修拠点を設立し、現地の技術者やスタッフに対して日本式の接客技術や故障診断方法を教育するなど、海外でも強い競争力を持つ。 世界的な猛暑とエネルギーコストの上昇を背景に、北米やインド市場でも省エネ型冷蔵庫やメンテナンスサービスへの需要は高まっている。鮮度を保ちながら内部の曇りを防ぐことができるなど、温度制御技術に優れた同社製品の存在感がさらに高まりそうだ。 政府は2025年に2兆円、2030年には5兆円まで引き上げる目標を掲げている。円安や人口減少の影響を受けやすい外食産業にとっても、海外での日本食ブームは大きなチャンスともいえるだろう。
宇野沢 茂樹(証券アナリスト)