『スーパーマン』に4代目グリーン・ランタンが登場! 予告編の気になる登場人物を解説
こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画およびジャンル映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今日は先日解禁となり大きな話題となった、ジェームズ・ガン監督による『スーパーマン』の最新予告編解説です。 【写真】『スーパーマン』の新しい「S」のロゴ この予告編はオンラインでリリースされるや否や、1日で2億5000万回以上の再生回数と100万件のソーシャル投稿を記録し、DC映画としてもワーナー・ブラザースの映画としても最高記録となったそうです。メディアやファンの反響も大きかった。かくいう筆者もこの予告の解禁を心待ちにし、視聴し終えた後、「おお!」と叫ぶぐらい興奮しました。細かな解説をする前に、まずこの作品の概要についてふれておきましょう。 タイトルからもわかる通り、本作はスーパーマンの映画です。シンプルに『スーパーマン』とつくのは1978年公開(日本では1979年)のクリストファー・リーヴ出演の傑作にしてアメコミヒーロー映画の最高峰のひとつ『スーパーマン』以来です。 そして今回の『スーパーマン』が注目されているのは、ジェームズ・ガン監督とプロデューサーのピーター・サフランが立ち上げた、新たなるDC映画(ドラマ、アニメ、ゲームも含む)世界、DCユニバース(DCU)のキックオフ的作品だから。そしてDCUはヘンリー・カヴィルがスーパーマンを演じた『マン・オブ・スティール』(2013年)から始まり『アクアマン/失われた王国(2023年・日本公開は2024年)』まで続いたDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)を一旦リセットしての再スタートとなります(なおロバート・パティンソンの『THE BATMAN-ザ・バットマン-』やホアキン・フェニックスの『ジョーカー』2作はDCEUでもDCUでもない映画として独自性を保っています)。 DCUの『スーパーマン』は2025年7月11日全米公開予定。主人公のスーパーマン/クラーク・ケントをデヴィッド・コレンスウェットが演じます。ミア・ゴス出演のホラー『Pearl パール』に出てくる映写技師役、『ツイスターズ』にも出ていました。前者は被害者、後者は嫌な奴を演じていましたが、今回は堂々たるヒーロー役です。ジェームズ・ガン自らがメガホンを取ります。 今回の予告編、その冒頭シーンにすべてが詰まっているといっても過言ではないでしょう。恐らく北極(ここにはスーパーマンの秘密基地ともいうべき“孤独の要塞”という拠点があります。コミックでも映画でもドラマでも描かれていました)に墜落して傷ついて横たわるスーパーマン。そこにかけつける愛犬のクリプト。このワンちゃんもスーパーマン同様、惑星クリプトンから来たからスーパーパワーを持っています。2022年に公開されたアニメ映画『DC がんばれ!スーパーペット』の主役でしたね。ここからかかるのが誰もが一度は聞いたことのある、1978年版『スーパーマン』のテーマ曲(作曲はジョン・ウィリアムズ)のアレンジ版です。 まずクリプトはコミックでも大人気のため、大の犬好きで知られるジェームズ・ガン監督としては絶対にこのキャラを出したかったと思います。したがってガン監督ならではスーパーマン映画ということがよくわかりますが、曲に1978年版を使うことで、あのスーパーマン路線を復活させるという意志も感じます。 クリストファー・リーヴのスーパーマンはぬくもりを感じるヒーローでした。ヘンリー・カヴィルのスーパーマンはクールな超人でした。どちらも素晴らしい“スーパーマン”でしたが、ガン版スーパーマンはクリストファー・リーヴ版のテイストを意識しているということでしょうか?(ただしちゃんと『マン・オブ・スティール』版のスーパーマンを意識していることを感じるシーンもあります。後述)そしてスーパーマンが打ちのめされているシーンから始めるのもすごく戦略的です。 実はスーパーマンというのは非常に映画化が難しいヒーローとされていました。バットマンのほうが映画にしやすいと言われています。物語において主人公の行動の動機への説得力とその人物にいかに共感できるかがポイントとなります。そういう意味でバットマンはこの2つの要素をクリアしています。まず彼には犯罪と戦う理由がある。 そして無敵の超人ではなく我々と同じ生身の人間だからなおさら応援したくなる。それに対しスーパーマンはなぜあれだけの力を世のため人のために使うのか明確な理由はない(ぶっちゃけあの力を使って世界征服してもいいわけだし)。また無敵の超人なので強すぎるわけです。 だからこそ78年版の『スーパーマン』では2人の父(実の父と育ての父)の教えで、彼がその力を正しいことに使う人間になるまでをじっくり描いたし、『マン・オブ・スティール』では世間が彼を驚異のヒーローではなくむしろ脅威のエイリアンとみなすので、その中で苦悩していくというドラマ性を加味しました。 おそらくガン監督としては、やられているスーパーマンをまず見せることで、彼が無敵のヒーローではなく、観客が共感できる人物である、とまず提示したのでしょう。 この予告の中にはすごく印象的かつ対照的なシーンが2つあります。女の子を爆発からかばって守るシーン、そしてスーパーマンに対し何らかの理由で大衆にモノを投げつけられるシーンです。先ほどガン監督は78年版のテイストを意識としました。女の子を守るシーンのカッコよさは「これぞヒーロー!」ですが、一方大衆の怒りを買うシーンは『マン・オブ・スティール』的なシリアスさを感じます。そういえば『マン・オブ・スティール』の続編である『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』において、洪水に襲われた家族が屋根にSのマークを書いてスーパーマンに助けを求めるシーンがありましたが、今回の予告では男の子がとんでもないピンチの状況の中、Sのマークの旗を掲げスーパーマンに助けを求める場面はそれに似ており、ガン監督は『マン・オブ・スティール』路線からもインスピレーションを得ているようです。 さてここから先はちょっとマニアックな解説です。この予告にはDC好きを喜ばせるさまざまなキャラが登場します。カッコ内の秒数は予告編でこれらのキャラが出てくる時間です。 ロイス・レイン(41秒目) スーパーマン/クラーク・ケントの恋人となる女性です。クラークが勤めるデイリー・プラネット(新聞社)が誇るジャーナリストです。演じているのはレイチェル・ブロズナハン。雰囲気は、1978年版のマーゴット・キダーが演じたロイスに似ています。ロイスはスーパーマン=クラークと気づかない設定ですが、物語によって「ロイスはスーパーマンに恋をした(結果、彼はクラークだった)」というパターンと「ロイスはクラークを愛している(結果、彼はスーパーマンだった)」というふうに描かれる場合があります。今回はどっちだ? ジョセフ・ケント(52秒目) 後にスーパーマンになるカル=エルが赤子の状態で地球にたどりつき、その子を育てるのがケント夫妻です。ここに登場するのが父ジョセフ・ケント。スーパーマン神話において彼がヒーローになるのは、ケント夫妻が愛と責任をきっちり教えたからであり、すごく重要な役割を担います。この夫婦に育てられてなかったら、カル=エルはスーパー不良になってもおかしくないのだから。 レックス・ルーサー(1分28秒目) スーパーマンの宿敵レックス・ルーサーです。天才にして大金持ち、権力者。ニコラス・ホルトが演じています。この後のシーンで意味深に銃を持っていますよね。もしかするとスーパーマンを倒せる超物質クリプトナイト製の弾丸なのかも。 ルーサーコープ(1分30秒目) レックス・ルーサーが率いる大企業です。名前がルーサーコープであることに注目してください。コミックでこの会社はいまレックスコープです。つまりルーサーコープはレックス・ルーサーの苗字(ファミリーネーム)に由来、レックスコープはレックス・ルーサーの名前(ファーストネーム)に由来するため、この映画ではまだレックス・ルーサーが父の会社を譲り受けてそんなに時間がたっていないのかな。 で、ここからは海外のファンの投稿をみての“うけうり”ですが、このルーサーコープの渡り廊下の屋根の上を拡大すると人がいることがわかります。これがジェームズ・ガンが本作に登場させると言われている、ジ・オーソリティなるヒーローチームのジ・エンジニアことアンジー・スピカでないかと言われています。 スタッグ・インダストリーズ(1分42秒目) 大衆から避難したスーパーマンが入るビル。「STAGG INDUSTRIES」と書かれています。恐らくコミックに登場する億万長者サイモン・スタッグの会社スタッグ・エンタープライズの映画版でしょう。このスタッグネタはこの後に登場するキャラと関係があります。なおこのビルに入る前に焦燥しきったスーパーマンの顔が映りますが、前髪がS字っぽくなって垂れていることにご注目ください。クリプトニアンカットとも呼ばれるスーパーマンの髪型です。 グリーン・ランタン(1分43秒目) ここは「待ってました!」と叫ぶファンも多いのでは? 手からビームを出すこのおかっぱの男性。ヒーロー名はグリーン・ランタン、この人物はガイ・ガードナーです。この髪型はコミック版の再現。グリーン・ランタンを名乗る(襲名する)人物は複数いて、映画『グリーン・ランタン』でこのヒーローを演じたライアン・レイノルズは、一応地球人としては2代目グリーン・ランタンとなるハル・ジョーダン。 ガイ・ガードナーは4代目グリーン・ランタンです(ちなみに3月にリリースされる『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』では、女性のグリーン・ランタン/ジェシカ・クルスが登場)。ガン監督はグリーン・ランタンをテーマにしたランタンズというドラマシリーズを考えているようで、この映画からドラマにつながるのでしょうか? ガイ・ガードナー役のネイサン・フィリオンは『スリザー』『スーパー!』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3作、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でジェームズ・ガン監督と組んでいます。最近では『デッドプール&ウルヴァリン』でヘッドプールの声を演じています。