「親父、こんなに苦しかったのか」就職先の銀行で知った家業の低い評価 大人気の京都洋菓子ブランド「マールブランシュ」を継いだ3代目の決意
◆「社長室は絶対に作りたくなかった」
――本社建て替えについては、どのような点を大事にしましたか? 私自身は相当のコストをかけたいと考えていましたが、社内からは「そこに力を入れても売上には繋がらない」という声もあがり、議論を重ねました。 様々な現場を渡り歩いてきた経験から、働く人のパフォーマンスを最大化することが、ひいては顧客満足度に繋がるという確信があったんです。 父も「アンリシャルパンティエさんのようなカッコいい会社を作りたい」が口癖でしたので、その思いが私にもインストールされていたのでしょうね。 ――新オフィスのこだわりは何でしょう? 部署ごとに階や部屋が分かれていたのを、ワンフロアのフリーアドレスにして部署間の連携力を高め、タイムラグをなくしました。 それと、社長室は絶対に作らないと決めていました。我が社の強みである「社長と現場が近い」点をもっと加速させねばと。 事務所の制服もオフィスができる数年前に廃止しました。私達が提供しているのはワクワクや特別感。 店頭ではキラキラした洋菓子を売っているのに、事務所に入るとかっちりとした真面目な雰囲気であるよりは、自由かつ個性的なスタイルで、なおかつお客様やお菓子のことを一生懸命に考えている集団でありたいと願っています。
■プロフィール 株式会社ロマンライフ代表取締役社長兼COO・河内優太朗氏 1984年5月26日生まれ。2007年、同志社大学商学部卒業後、銀行で法人営業を担当し、その後某上場企業の総務法務部にて1年勤務。2010年に株式会社ロマンライフに入社し、製造部門やマールブランシュ京都北山本店の店長勤務などの現場業務に従事。2018年には常務取締役となり、2020年にオープンしたマールブランシュロマンの森の事業計画の中心人物として奮起。2023年8月より現職。
取材・文/埴岡ゆり