NASAがアルテミス3ミッションの着陸候補地を発表 月の南極周辺に9か所
アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年10月28日付で、アメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」で最初の有人月面着陸を行う「Artemis III(アルテミス3)」ミッションの着陸候補地に関する最新情報を発表しました。 人類が再び月を目指す「アルテミス計画」を分かりやすく解説
Artemis IIIミッションでは半世紀ぶりに宇宙飛行士が月面に降り立つ
Artemis計画は月面での持続的な探査活動や将来の有人火星探査を見据えた国際的なプロジェクトで、1960~70年代に実施された「アポロ計画」以来となる有人月面探査が行われる他に、月周回軌道には中継拠点となる宇宙ステーション「Gateway(ゲートウェイ)」も建設されます。同計画を念頭に置いた「Artemis Accords(アルテミス合意)」には、2024年10月25日時点で日本を含む47か国が参加しています。 2026年9月以降に実施される予定のArtemis IIIは、前述の通りArtemis計画で最初の有人月面着陸を行うミッションです。4名の宇宙飛行士がNASAの有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」に搭乗して月周辺に向かい、そのうち2名が着陸船に乗り移って月面へ降り立ちます。 Artemis IIIの着陸目標地域は月の南極周辺で、着陸船にはSpaceX(スペースX)の再使用型宇宙船「Starship(スターシップ)」の月面着陸仕様である「Starship HLS(※)」が選ばれています。また、月面での船外活動にはAxiom Space(アクシオム・スペース)とPrada(プラダ)が共同開発した次世代宇宙服「AxEMU」が使用される予定です。 ※…HLSはHuman Landing System(有人着陸システム)の略
月の南極周辺で合計9か所の着陸候補地を選定
Artemis IIIミッションの着陸候補地は2022年8月にも13か所が発表されていましたが、着陸地点の選定と分析を行うNASAのチームによって科学的価値とミッションの実現可能性が評価された結果、以下の9か所が選び出されました。今回発表された候補地には2年前に発表された13か所から絞り込まれたものもあれば、新たに追加されたものもあります(※丸括弧内の日本語注記は編集部による。地名は由来となった人物名などを参照)。 ・Peak near Cabeus B(カベウスBクレーター近くのピーク) ・Haworth(ハース・クレーター) ・Malapert Massif(マラパート・マシフ) ・Mons Mouton Plateau(ムートン山・プラトー) ・Mons Mouton(ムートン山) ・Nobile Rim 1(ノビレ・クレーターのリム1) ・Nobile Rim 2(ノビレ・クレーターのリム2) ・de Gerlache Rim 2(ド・ジェラルーシ・クレーターのリム2) ・Slater Plain(スレーター・クレーター近くの平地) Artemis計画の月科学リーダーを務めるNASA本部のSarah Nobleさんは、これらの地域は水などの化合物が存在する可能性がある永久影(太陽光が直接届かない場所)に覆われたエリアを含む月で最も古い地形へのアクセスが可能であり、どの候補地も素晴らしい科学的成果をもたらし、新たな発見を促すでしょうとコメントしています。 NASAによると、Artemis IIIミッションの着陸目標地点は打ち上げ予定日が決まり次第、軌道経路や月面の環境条件を考慮した上で最終的に選定されるということです。 Source NASA - NASA Provides Update on Artemis III Moon Landing Regions 文・編集/sorae編集部
sorae編集部