鹿児島県 さよなら2024 再生、巳年の新年に願い
奄美群島民にとって生活の基盤となる〝命綱〟と言っていいかもしれない。2023年度末(24年3月31日)で期限切れを迎えた奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の一部を改正する法律案が3月29日に参議院で可決、改正法が成立し、今年度から同法に基づいた事業が進められている。 沖縄との連携強化、均衡ある発展を目指し航路・航空路運賃軽減や物資の輸送費支援が県本土だけでなく、沖縄間も対象となった。一方で運賃の軽減が図られても空路では奄美―沖縄間の直行便が運航されておらず、奄振交付金による事業効果で奄美と沖縄の交流人口拡大につなげるためにも直行便再開が待たれる。 事業効果が見えないのにソテツ対策がある。奄美大島北部を中心に発生し、現在は島内一円に広がっている外来カイガラムシ(和名・ソテツシロカイガラムシ)によるソテツ被害。貴重な観光資源となっていることから景観を守ろうと、龍郷町は安木屋場集落にある群生地の対策(被害葉の切除や薬剤散布)に乗り出したが、幹だけが残り青々とした葉は蘇生しない。阿世知正博区長は「薬剤散布により駆除できているのだろうか。もっと大々的な散布が必要ではないか。新芽が出ても再び枯れ、葉は黄色くなる。カイガラムシは根絶されていない。群生のソテツが山の斜面を覆っているだけに、枯れた場合、土砂崩れが発生しないか心配。山の下にある民家に被害が及ぶのではないか」と語る。 来る年の干支(えと)は巳年(みどし)。奄美ではハブが象徴だ。脱皮を繰り返しての成長し、生命力の強さから「再生」「復活」を伝える。巳年にあやかり、救荒作物として先人の命を救ったソテツの再生を願いたい。