【動画】兵庫・尼崎のビリヤード店77年の歴史に幕 ── 亡き夫への想い胸に12月閉店へ
ジェーン台風、阪神・淡路大震災を乗り越えたキャロム台
店内に並ぶキャロム台5台のうち4台は、開店当時から使っているもの。シヅヱさんによると、1950年の「ジェーン台風」では台の半分が水につかり、戦争にも耐えた。また、1995年の阪神・淡路大震災の時は、店自体が傾くなどの被害を受けたものの、この台だけは1ミリも動かずに耐えた。ちなみに開店当時の残る1台は、戦後に常連として通っていた「進駐軍」の米兵が「どうしても欲しい」と懇願し、仕方なく売ったという。 「(台の)中に入っている石がほんまにしっかりしていて、もちろん国産モノ。もう、こんな台はどこを探してもないらしく、キャロム台だけでやってるところは全国的にも珍しいそうですわ」(シヅヱさん)。 これも光雄さんやシヅヱさん、そして常連客の協力があったからこそ、現在も使える状態を保ち続けることができた。 だが、シヅヱさんの体調が思わしくなく、今回止むなく閉店することを決めた。「心臓とかを悪くしてて、今は先生から心配ないと言われたけど怖いから。通院で週3日休ませてもうてるし。80周年まで頑張りたかったんやけど...」と寂しそうに語るシヅヱさん。
12月7日閉店。おばちゃんは、滋賀県に住む娘家族のもとへ
閉店を知り、常連客からは「生きがいをなくした」「ほんまに残念」といった声もあがるが「おばちゃんに身体を大事にしてほしい」という気持ちが強い。この歴史を見つめてきた台は、愛知県の業者が引き取ってくれることが決まった。 「小林撞球場」は12月7日、77年にわたり刻んできた歴史にピリオドを打つ。シヅヱさんは滋賀県内在住の看護師をしている娘家族のもとへ行くという。「今は閉店と引っ越しの準備で大変やけど、最後まで頑張ります」。光雄さんとの数え切れない思い出を胸に、きょうも店に立つ。