不名誉な“フードロス大国”ニッポン 隣国では…寄付・リサイクルが「当たり前」に いま私たちにできることは? 【沸騰化時代の処方箋】
猛暑や豪雨など、気候変動の影響が私たちの身近に迫るなか、国連はこれまでの“温暖化”から「地球沸騰化」という表現を新たに用い、警鐘を鳴らしています。変わりゆく地球の中で、私たちにはいま、何ができるのか。 「沸騰化時代の処方箋」として、今回は”フードロス”の現状について考えます。
「お肉を見て涙が出そう…」フードロスを“寄付”に
名古屋市内に置かれた1台のロッカー。そこに女性が表れると、中から袋を取り出した。中に入っていたのは… ■女性 「ごはんとか、子どもたちが喜ぶお菓子とか」 「最初にお肉を見たときには、涙が出そうで」 女性が受け取ったのは、袋いっぱいの食品。ロッカーの正体は“冷蔵庫”でした。
廃棄すれば、そのぶん環境負荷に…
これは「みんなの冷蔵庫」という取り組みで、生活に困った人が、非対面で食品を受け取ることができます。 食品はどこから来たのか。団体のもとを訪れた食品加工業者の男性に話を聞くと… ■男性 「店売り用で作って、余ってしまったもの」 「明日は休みだからもったいないと思って、子どもさんに食べてもらえればと思って持ってきました」 ロッカーの中身は、まだ十分に食べれるものの、売れ残ってしまった食品たち。廃棄となれば、その処理にエネルギーをかけることになりますが、寄付することによって、福祉と環境を両立することができるのです。
「まだ食品が回っていない」日本の現状
「みんなの冷蔵庫」の利用者は、8割近くがひとり親家庭。これまでに3000世帯以上が支援を受けました。 しかし、運営する団体は、課題を感じているといいます。 ■運営団体 「フードロスを世の中に回すということは、企業にとってリスクが高い話なので、まだまだ食品が回っていないんじゃないかと」 年間約500万トン以上ともいわれる、フードロス大国・日本。まだ食べられる“ロス”を寄付に回すということが当たり前になるには、まだ時間がかかるようです。
国策として「フードバンク」広がる韓国
そんななか、隣国・韓国では、国策としてフードロス削減に取り組んでいるといいます。 実際に、韓国・ソウルを訪れると、コンビニのような建物に多くの人が。ここはフードバンクで、賞味期限が近いなどの事情がある食料のほか、日用品なども並びます。すべてが、企業や個人からの寄付で成り立っているといいます。 フードバンクは、韓国では行政が全国に400か所以上設置し、年間約35万人が食料を受け取っています。 こうした量の食品を「廃棄しなかった」ことによって、年間で40万本ものマツの木を植えられるほど、炭素の排出量を減らせているというのです。