“処理水”今月下旬にも放出か 地元の漁師「風評とか…自分の努力ではどうしようもない」 根強い反発も
日テレNEWS
政府は福島第一原発の処理水について、今月下旬にも海に放出することを検討しています。福島県では、「受け入れざるを得ない」という声もある一方で、根強い反発もあります。こうした中、私たちは福島・いわき市を訪れ、ホッキ貝漁を続ける漁師などに話を聞きました。 ◇ この時期、人気は地元で採れたホッキ貝の刺し身や、その出汁で炊き込んだご飯「ホッキ飯」です。 大川魚店 大川勝正社長(48) 「身が厚くて、結構甘みがあっておいしいホッキ。たたくと締まるんです」 この食堂では、地元の魚介などを使った定食が自慢だといいます。 食べに来た客 「甘みがあって、とってもおいしいですね」 「ご飯の方もしっかりと味がついていて、いつもの味という感じです」 大川さんが今、心配しているのが処理水の海洋放出の時期です。 政府は処理水について、今月下旬にも放出することを検討しています。岸田首相は18日の日米韓首脳会談にあわせアメリカを訪問し、現地で韓国の尹大統領に理解を求める考えです。その後、関係閣僚などと協議し、最終的な時期を決める方針です。 大川さんは放出すれば「商売に影響が出る」と心配する一方で、廃炉を進めるためにはやむを得ない面もあると考えています。 大川魚店 大川勝正社長(48) 「やはり廃炉ですね。1日でも早く進むのであれば、やっぱりそれ(処理水放出)は受け入れざるを得ない」 ◇ 一方で、根強い反発もあります。 放出の時期が近づく中、地元では日々、漁が続いています。福島県でのホッキ貝漁は今が旬。6月から始まり翌年1月まで続くといいます。 7年前に地元に戻り、ホッキ貝漁を続けている佐藤文紀さん(33)は「もちろん反対は反対です」と話します。気になるのは、風評被害です。 漁師 佐藤文紀さん(33) 「専門家の方がちゃんと調べて『安全だ』と言うなら、安全なんでしょうけど、それを証明されたところで、一般の消費者の人が安心して食べられるかといったら、そうじゃないと思うんですよ。風評とか魚が売れないとなると、もう自分の努力ではどうしようもない」 佐藤さんは、政府が説明する風評被害対策についても基準が曖昧なため、十分な支援を受けられるか不安だと話します。 政府は中国などの周辺国や漁業関係者への説明を続ける考えですが、反発が強ければ放出時期がずれこむ可能性もあります。