「玉木潰しだ」「無能より、不倫する有能がいい」との声も…。玉木氏の「不倫報道」でも無傷か、国民民主党がここまで躍進した理由とは?
これは、ポピュリズムの2つのタイプを上手く結合させた「ハイブリッド型のポピュリズム」といえるだろう。 つまり、「103万円の壁」の見直し(非課税枠を年収178万円まで引き上げることなど)を事実上のシングルイシュー(単一論点)政策とし、「固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に直接訴え」ながら、「人民」重視の裏返としての(政策の妥当性に疑問を投げかけるような)メディアや政党などへの批判を展開していく絶妙なスタンスである。
■政党優先ではなく「政策優先」 実際、国民民主党は「政策優先」であり、政権交代のような「政党優先」の立場を取らない姿勢を貫き、そのこと自体も様々な場で積極的にアピールしている。 11月6日の政務調査会の議員懇談会で、玉木雄一郎代表は「誰とやるか、どこと組むかではなく、何を成し遂げるかが大切」「われわれは政権の延命に協力する気はありません。ただただ国民に訴えた政策を1つでも2つでも実現していく」と述べており、同様の発言はインターネット番組などでも行っている。
このような自分たちの党利よりも国民目線の政策実現を目指すスタイルは、後者のポピュリズムにありがちな「既得権益という名の敵」を作り出して排撃する傾向を抑制し、交渉と駆け引きという政治のリアリズムへと引き戻す性質を持っている。 11月8日の外国特派員協会における記者会見で、玉木代表が主張した「対決より解決」という言葉には、党勢を拡大したり、自分たちの名を売ったり、政権を奪取することが目的ではなく、国民の生活を改善する減税や家計支援を着々と進めていくことが目的であることがよく表れている。
■対立色の中和が、日本人にもマッチ? 分断を煽るポピュリズムではなく、国民のニーズに即した公平な仕組みに変えるための協調を呼びかけるポピュリズムである。 政策の障害になっている政治勢力の排除や、善と悪の戦いといった舞台を求める「強いタレント性」がないことが、むしろ対立色を中和している面があるだろう。 このようなハイブリッド型のゆるいポピュリズムは、好戦的な言動や極端な改革を嫌う日本のマジョリティとかなり相性が良いだろう。