どうして食べてくれないの?!子どもの偏食は「小児摂食障害」の場合も。「偏食外来」医師からのアドバイス
初めての食べ物や苦手な食べ物は、子どもにとってモンスターのように感じる場合も
子どもは、本当は食べたいと思っています。しかし、初めての食べ物や苦手な食べ物をモンスターのように怖いと感じる子もいます。また、食べる技能を獲得していないから食べられない子もいます。 対策としては、ママ・パパが強制せずに、食べ物に興味を持てるようにすることが大切です。 離乳食の本では、手づかみ食べは9カ月ごろからと記されていますが、6カ月ごろから自分で食べ物を触ったり、握ったりする経験を積極的にさせてほしいと思います。
ママ・パパの関わり方が影響していることも。強制していないか確認を
小児摂食障害は、ママ・パパの関わり方が影響することも。そのため食事のあり方を見直してみましょう。原因として多いのは、次のことです。 1 食事を強制する 「一口だけでも食べよう」「なんで食べないの?」「おしいしいから食べよう」「食べないと大きくならないよ!」などの言葉かけは強制です。また子どもの意思を無視して、スプーンを口に入れたりするのも強制です。ママ・パパが強制すると、子どもは食事をさらに拒むようになります。 2 親子で一緒に食事をしない 親の都合などで、親子で一緒に食事をしない家庭もあります。しかし家族で食卓を囲み、ママ・パパがおいしそうに食べる姿を見て、子どもは食べ物に興味を持つようになるものです。離乳食の時期でも機嫌がよいときを見計らって、親子で一緒にテーブルを囲みましょう。 3 いつでも食べられる環境を作っている 偏食が多かったり少食だったりすると「何か食べさせないと!」との不安感から、いつでも子どもが好きなものを食べられる状態にしている家庭もありますが、これが習慣化していると食の悩みは解決しません。
神奈川県立こども医療センター偏食外来は、オンライン相談も可能
神奈川県立こども医療センター偏食外来は、2015年に立ち上がりました。年齢相応の⾷事を⾷べたがらないお⼦さんを対象にした外来です。これまで800人以上の子どもの診療にあたってきました。遠方や忙しいママ・パパは「オンライン偏食外来」を利用することもできます。 オンライン偏食外来は原則0~3歳が対象で、初診は60分です。自費で、初診は11,000円(税込)です。 ■子どもの食事の様子の動画を元に、医師がアドバイス。自宅で環境調整や行動療法を実施 「偏食外来」では、医師とママ・パパが二人三脚で小児摂食障害の課題に取り組んでいきます。 まずはママ・パパからの聞き取りをもとにして、自宅で環境調整や行動療法を行います。そして、食事の様子を動画で撮影して、次の診察のときに医師に見せてアドバイスを受けます。動画を見ることで、食事中の子どもの表情、姿勢、目線、手や口の動き、椅子とテーブルの関係、家族とのやりとりなどをチェックができますので、パパ・ママの言葉かけや関わり方で、直したほうがよい点を見つけて、再び自宅で環境調整や行動療法を行います。受診回数は、個人差がありますが4回程度です。 *偏⾷外来に関するパンフレットが神奈川県⼩児保健協会のウェブサイトにて公開されています。受診前にぜひご覧ください。 【記事監修】 大山牧子先生 | 神奈川県立こども医療センター新生児科 岡山大学医学部卒。1985年~2022年3月神奈川県立こども医療センター新生児科医長を務める。2022年4月から同新生児科非常勤医師として偏食外来を担当。2023年より、「こども偏食少食ネットワーク」を通じて子どもの食べることに関するオンライン養成講座を監修。著書に『子どもの偏食外来』(診断と治療社)、『子どもの偏食Q&A―あるある悩みにどう答える―』(中外医学社)など。
取材・構成/麻生珠恵