夫から「定年前に仕事を辞めたい」と相談が! 65歳から夫婦で「月25万円」の年金を受給予定、貯金も「2000万円」あれば大丈夫? 老後に必要なお金をシミュレーション
定年退職まで残り数年となると、老後資金は足りるのか不安になったり、逆に「このくらい貯金や退職金もあるから今仕事を辞めても大丈夫」と楽観的に考えたりする人もいるのではないでしょうか。 退職金と年金だけで悠々自適に暮らせる時代は終わったといわれることも少なくありませんが、できれば働きたくない、いつまで働けるのか自信がないという人もいるでしょう。 本記事では、60歳時点で貯金2000万円あり、65歳からは年金を夫婦合わせて月額25万円もらえるケースを想定し、働かなくても家計のやり繰りはできるのか解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
年金で老後の生活は賄える?
定年退職後も、当然ながら生活するうえでお金はかかります。老後は「夫婦2人で生活する」場合、総務省統計局のデータによると月額28万2497円の支出が発生します。これはあくまで通常の生活を想定しているため、想定外の事態が発生すると出費はさらに増えることも考えられます。 例えば、自分やパートナーが大きな病気やけがをして長期間通院や入院をしなければならなくなると、医療費の負担が重くなるかもしれません。洗濯機や冷蔵庫など生活必需品といえる家電製品が故障すると買い替える必要もあります。趣味や旅行などの娯楽を楽しむための資金を用意しておきたい人もいるでしょう。 これらを総合的に考慮すると、たとえぜいたくをしなくても、心身ともに豊かな老後生活をおくるためには、平均月額30万円以上の支出を賄える経済力が必要といえるかもしれません。 毎月30万円の支出がかかる場合、2人あわせて25万円の年金をもらえるため、単純計算で5万円の赤字です。そして、年金の繰上げ受給をしない場合、60歳から65歳までの5年間は「無収入」となってしまうため、毎月30万円ずつ貯金を取り崩す形となります。
貯金と退職金があっても安心はできない?
仕事を辞めると、会社から退職金を受け取るケースは少なくありません。 厚生労働省が公表している就労条件総合調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者1人あたりの平均退職給付額は、「大学・大学院卒」で自己都合退職の場合1441万円となっています。 勤続年数や学歴、退職事由、退職給付制度などの内容によって、金額は数千万円規模で変化することもあるので一概にはいえません。今回は仮に退職金として1500万円受け取るとしましょう。60歳時点で貯金とあわせて3500万円の資産があり、65歳から受け取る年金以外でパートナーも含めて世帯収入はないものとします。 65歳までの5年間は生活費全額を貯金から取り崩すため、毎月30万円の支出が発生すると年間で360万円、5年間で1800万円を使う計算です。65歳からは年金が支給されることで資産の減少スピードはゆるやかになりますが、それでも毎月5万円、年間で60万円の赤字です。 65歳時点で1700万円の資産があるものの、このまま何も対策しなければ約28年(約93歳)で資産が底をついてしまいます。いまは人生100年時代といわれ、90歳を過ぎても健康で元気に生活する人も少なくありません。 ただし、そのタイミングで「お金がないから働く」のはあまり現実的ではないでしょう。100歳まで生きるのなら、残り10年程度の生活費をどのようにして工面するのか、大きな課題を抱えることになります。 また、想定外の事態が発生した場合や、旅行や趣味なども思う存分楽しみたい場合は、もっと早いタイミングで資産がなくなるかもしれません。