トランプ次期米大統領に10日、量刑言い渡しへ 有罪評決維持も収監や罰金ない見通し
ドナルド・トランプ次期米大統領が元不倫相手への口止め料支払いを隠すため業務記録を偽造したとして重罪34件について有罪評決を受けている裁判で、ニューヨーク州地裁は3日、今月10日に量刑を言い渡すと発表した。ただし、次期大統領に禁錮刑を科すつもりはないという方針も示した。トランプ氏は今月20日に大統領として就任する。 ニューヨーク地裁のホアン・マーシャン裁判長は、トランプ次期大統領に禁錮刑も保護観察も罰金も科すつもりはなく、「条件を伴わない刑罰の放免」を言い渡すつもりだと明らかにした。 10日の量刑言い渡しには、本人が直接もしくはオンラインでの出廷するよう指示した。 トランプ氏側は大統領選勝利を理由に、有罪評決の無効を申し立てていたものの、マーシャン判事はこれを棄却した。 トランプ氏の弁護団は、量刑を言い渡すという判事の決定を批判し、「法的根拠のない」この事件は「ただちに」棄却すべきだと主張した。 ニューヨーク州地裁は当初、昨年11月26日に量刑言い渡しを予定していたものの、11月5日の大統領選の結果を受けて、言い渡しを延期していた。 トランプ氏は昨年5月30日、アメリカ大統領経験者として史上初めて陪審員から有罪の評決を言い渡された。次期大統領が性的関係のあったポルノ映画スター、ストーミー・ダニエルズ氏に13万ドルを支払い、それを隠ぺいするために事業記録を改ざんしたと、陪審は認めた。 次期大統領は一切の不法行為を否認し、無罪を主張。自分が起訴されたのは、2024年大統領選で自分を不利にするためだったと主張した。 トランプ陣営のスティーヴン・チャン広報担当は3日、量刑を言い渡すというマーシャン判事の今回の決定は「魔女狩り」の一環だと批判。「トランプ大統領は、今回やほかの魔女狩りの残りかすに妨げられることなく、大統領権限移行のプロセスを継続し、大統領の重要な職務を遂行できなくてはならない」とし、「量刑言い渡しは行われるべきではない」、「トランプ大統領は一連のあらゆるでたらめが全てなくなるまで、戦い続ける」と強調した。 トランプ氏は、自分が大統領でいる間、この事件での有罪評決がずっと影を落とし続け、統治能力を妨げることになると主張し、量刑言い渡しの差し止めを求めた。 これに対しマーシャン判事は、陪審団による表決を覆すという「極端な対応」をとることなく、トランプ氏が大統領としてこの刑事事件について心配する必要のないよう、複数の措置が考えられると説明。それには、トランプ氏が2029年に退任するまで量刑言い渡しを先延ばしにするか、禁錮の伴わない量刑を保証するかなどが含まれるという。 次期大統領については昨年7月に別の事件で、連邦最高裁が「大統領の公務は原則として刑事免責される」と判断。トランプ氏側はこの判断がニューヨーク地裁でのこの事件にも適用されると主張したが、マーシャン判事は昨年12月にその主張を退けていた。 こうした動きを受けてトランプ氏は、重罪で有罪評決を受けながら就任する初のアメリカ大統領になる見通し。 ニューヨーク地裁での量刑言い渡し後に、トランプ氏側が控訴する可能性もある。 アメリカでは事業記録の改ざんの最高刑は禁錮4年だが、最少の刑は定まっていない。必ず収監されるというわけでもない。このため、トランプ氏が大統領選で勝つ以前から複数の法曹関係者は、78歳という年齢や過去に犯罪歴がないことから、収監される見通しは低いと指摘していた。 トランプ次期大統領はニューヨークでのこの事件のほか、公文書の違法保管で連邦法違反に問われたほか、2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして連邦法違反とジョージア州法違反に問われていた。 (英語記事 Trump to be sentenced over hush money case but judge signals no jail time)
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