「温泉の泉質」は法律で定められていた!単純泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉…泉質10種の特徴をざっくりご紹介
訪れた温泉は約500湯、女ひとりで温泉を巡りまくっているという永井千晴さん。旅行情報誌編集部で働いた経験を活かし、現在は「温泉オタク会社員」としてブログなどで温泉情報を発信しています。その「温泉オタク会社員」こと永井さんが温泉の楽しみ方を紹介する当連載。今回のテーマは「ざっくり把握したい泉質」です。 永井さんおススメの温泉がこの一冊に!『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』 * * * * * * * ◆泉質で選ばなくていいけど、ざっくり把握する 温泉は、含まれている成分の種類と量によって、「泉質」が決まります。法律によって定められているもので、何度か改訂もされてきました。2020年時点では、10種類の泉質があります。 泉質ももちろん見ますが、それよりも大事なのは、湯船に注がれている温泉の状態。 最も一般的な泉質は「単純泉」というのですが、それひとつとっても、個性的ですばらしい湯もあれば、塩素のにおいがして鮮度がよくなく、ちょっぴり残念な思いをする湯もあります。 だから、平たくいってしまえば、「泉質で温泉は選べない」のが、私の考え。 それよりもレビューやレポートに書いてある温泉の状態を踏まえて、行くかどうかを判断していくのが間違いないと思います。 とはいえ、泉質がまったく意味をなさないわけではありません。ざっくり特徴を把握するのも大切です。私の独断と偏見による見方も交えて解説していきます。
◆単純泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉 【単純泉】 成分含有量が一定に達していない温泉で、湯あたりしにくく、最もシンプルな浴感です。とはいえ、入浴剤を入れた自宅のお風呂より基本的には成分は濃いので、「効果が薄い」わけではありません。 無味無臭で透明、さらさらした浴感が多く、老若男女だれにでもおすすめできる温泉です。だからか、各地の“名湯”といわれる温泉も、この単純泉が多いのです。 ◆泉質別適応症(浴用) 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態 ◆主な温泉地 鬼怒川温泉(栃木)、越後湯沢温泉(新潟)、下呂温泉(岐阜)、箱根湯本温泉(神奈川)、道後温泉(愛媛)、湯布院温泉(大分) 【塩化物泉】 名前の通り、塩分の濃い温泉です。海の近くに湧いていることの多い温泉で、保温効果が高く、湯冷めせずぽっかぽか。無色透明なものもあれば、ほんのり茶色や緑色に濁っている場合も。 ◆泉質別適応症(浴用) きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 ◆主な温泉地 定山渓温泉(北海道)、秋保温泉(宮城)、和倉温泉(石川)、熱海温泉(静岡)、城崎温泉(兵庫)、皆生温泉(鳥取)、指宿温泉(鹿児島) 【炭酸水素塩泉】 皮膚の角質や毛穴の汚れを取り、表面をなめらかにすることから、「美肌の湯」と呼ばれる泉質です。 その分、水分が蒸発して乾燥しやすくなるので、湯上がりの保湿をしっかり行ったほうがよい泉質でもあります。無色透明なものもあれば、白く淡い色がついたもの、茶褐色のものなど様々。 ◆泉質別適応症(浴用) きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 ◆主な温泉地 東鳴子温泉(宮城)、龍神温泉(和歌山)、湯村温泉(兵庫)、嬉野温泉(佐賀)、妙見温泉(鹿児島)
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