覚えておいて損はない!? 欧州、21歳以下のブレイク候補(6)左利きなのに右SB?CLで躍動する19歳
世界有数の才能が集まる欧州リーグには、今夏のユーロ2024(欧州選手権)で大活躍したラミン・ヤマルをはじめ、毎年のように各国の期待を背負う若手選手たちが台頭している。今回は、今季中に大ブレイクをしても不思議ではない21歳以下の期待のブレイク候補を紹介する(成績は11月25日時点)。
DF:ジョアキン・セイス(ベルギー代表) 生年月日:2005年3月28日 所属:クラブ・ブルージュ 市場価値:350万ユーロ(約5.6億円) 今季リーグ成績:14試合2得点0アシスト クラブ・ブルージュは毎シーズンのように若手有望株を輩出している。近年はロイス・オペンダ(ライプツィヒ)やシャルル・デ・ケテラーレ(アタランタ)らが移籍先で主軸に定着し、ベルギー代表でレギュラーに定着しているマキシム・デ・カイペルを筆頭に現在所属するメンバーにも多くの注目選手がいる。 この若手発掘と育成に長けるクラブで新たに台頭しているのが、19歳のDFジョアキン・セイスだ。今シーズンにトップチームに昇格したばかりの左利きのサイドバック(SB)は、本職が左サイドながら右SBのレギュラーに定着している。 前提として、左SBで試合にでることができていないのは、先述したデ・カイペルの存在が大きい。彼はビッグクラブへの移籍も噂されるベルギー屈指の左SBで、彼を差し置いて試合に出る理由はないだろう。 しかし、こうしたケースであれば通常は左SBのサブに落ち着くが、セイスの場合は今夏にフライブルクから獲得したウーゴ・シケら他の右SBのレギュラー候補を差し置いて試合に出場している。その理由は、単純に彼の方が攻守に計算できるからだ。 右足でもボールを扱うことが上手いセイスは、左利きの右SBであっても問題なくビルドアップに参加できる。クロスの精度は利き足の左足の方が高く、相手ゴールに向かう内巻きのクロスが大半だが、その精度はピカイチだ。 そして何よりも評価が高いのが守備面での貢献度だ。相手チームとの戦力差がある国内リーグでは問題ないのだが、格上との対戦が大半のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)では一つの守備の穴が致命傷になる。そうした中でシニアデビューを果たしたばかりの選手ながら、セイスはトッププレイヤー相手に奮闘している。 同選手は11月のUEFAネーションズリーグに向けてのベルギー代表に初選出されており、その決定打となったのが1-0で勝利したアストン・ヴィラ戦でのパフォーマンスだ。この試合でも右SBで先発出場していたセイスは、内側のレーンに絞る左MFのジェイコブ・ラムジーを監視しつつ、状況によっては大外から上がってくる左SBルカ・ディニュの2枚に対応する必要があった。 アストン・ヴィラのストロングポイントでもある左サイドの可変に対して後手を踏むケースが多い中でもセイスはほぼ完璧に対応。ラムジーにライン間での仕事をさせず、相手の攻撃パターンを絞らせて完封勝利の立役者となった。 対人守備の強さとポジションの修正の速さはピカイチで、本職ではないサイドでこれだけのパフォーマンスが発揮できる選手はほとんどいないだろう。
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