【能登半島地震】進まない2次避難……3万人可能も「1000人」のみ 専門家「移動をためらわないで」 高齢者のリスク軽減対策は?
■躊躇か…環境の変化に弱いお年寄り
藤井アナウンサー 「こうした中、長引く避難生活の環境改善に向けて石川県が呼びかけているのが、ホテルや旅館などへの2次避難です。995施設で3万20人まで受け入れることができる一方、現状は15日時点で1083人となっています」 「躊躇(ちゅうちょ)されている方も多いのかもしれませんが、2 次避難の必要性はどのように考えますか?」 高野教授 「結論から言うと、躊躇されている方が多いと思いますが、とりわけ介護が必要な高齢者、認知症や持病のある高齢者は、できるだけ 2 次避難所に移動された方が望ましいと思っています」
■高野教授「周囲もリスク説明を」
藤井アナウンサー 「3万人を超える受け入れ可能数がある中で、1000人ほどの方しか避難していないという現状をどう見ますか?」 高野教授 「今申し上げたような高齢者の方にはぜひ2次避難所に移っていただきたいですが、おそらく今の1次避難所の生活がそれなりに成り立ち始めたから、移らなくてもこのままいけるのではないか、と判断されている方が多いと思います」 「ただ、やはりそのままの生活ではリスクがあるということを、しっかりと周りの方々も説明をしなければいけないのではないかと思っています」 「特に能登半島の地域ですと、生まれ育った集落から出たことのない生活をずっとしてきた方が多いでしょうから、なおさら躊躇するでしょうし、環境の変化が良くないのではないか、といったさまざまな意見があるので、二の足を踏む方が多いのだろうと思います」
■「リロケーション・ダメージ」とは?
藤井アナウンサー 「2次避難をする際のご高齢の方のリスクを軽減するための対策を、高野教授に挙げていただきました。昔のアルバムを見る、普段と同じ食器を使う、誰かと一緒に運動や会話をすることがあります」 「家がつぶれてしまってなかなか昔のアルバムを取り出せないという人もいらっしゃるかもしれませんが、もしお手元にある場合には見るのも良いのではないかということです。なぜこうしたことが大切なのでしょうか?」 高野教授 「もちろん、それまで受けていた医療や服薬、必要な介護を受け続けることが前提です。ぜひ、2次避難先ではそうしたことをまずもって考えていただきたい」 「ただそういったものが整ったとしても、高齢者は環境の変化にとても弱いため、環境が変わったことだけで人と会話しなくなる、体の動きが悪くなる、夜寝られなくなる、今まで判断できていたことができなくなる、ということが普通に起きます」 「これを『リロケーション・ダメージ』と言います。これを防ぐために、食事、水分、対人・社会関係、それまでの生活リズムを保つことが大事なのですが、その時にとても効果があると言われるのが、もともとなじみのある物を身近に置いておくことです」 「これで随分、判断能力の衰えや意欲の低下を防げるということが知られています。2次避難所といっても限られた環境だと思いますが、こういうひと工夫をして 2次避難をされることをお勧めしたいと思います」