「日中トップ同士の対話を」 前向き発言相次ぐ東京―北京フォーラム
日中の有識者が両国の課題を話し合う「東京―北京フォーラム」(言論NPOなど主催)が5日閉幕し、国民感情が悪化するなかでも対話と民間交流を進めるべきだとする東京宣言を採択した。特に中国側からは「関係改善へ前進できる重要な時期」との発言が相次ぎ、両国トップ同士の対話を求めていくことで日中双方が一致した。 【写真】ガチ中華がブームになった理由 在日中国人が生きる「二つの時間」 同フォーラムでは、元閣僚や大使経験者、元外交・防衛当局者、日中の研究者ら計約100人が安全保障や世界の紛争への対応について議論した。 フォーラム前に実施された日中共同世論調査では、9割近くの両国民が相手国に良くない印象を持っていた。SNSを通じ相手国にネガティブな情報や偽情報が影響しているとし、日中両国の本来あるべき姿と実際の心情の間には「非常に大きな隔たりがある」(北京大の賈慶国教授)との危機感が共有された。 一方で、2日間の議論を通じて中国側からは、日中関係改善へ非常に重要なタイミングだとの発言が相次いだ。劉洪才・元中国共産党中央対外連絡部副部長は「今後、政府と政党のハイレベル交流が重要」とも語った。 これは今年11月、国際会議にあわせて南米ペルーであった石破茂首相と習近平(シーチンピン)国家主席の会談が順調に行われたとの判断があるとみられる。両首脳が日中の「戦略的互恵関係」を進め、建設的で安定的な関係をつくっていくことで合意したことを、中国側は繰り返した。
朝日新聞社