地検トップによる性被害訴える女性検事「被告の罪深さ、本当に許せない」身をもって性犯罪被害者のつらさ知り「検事の鎧」で戦う
■「検事の鎧(よろい)」女性検事が語ったプロ意識とつらさ
これから裁判の中で真相が明らかになっていくことになる。 ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:『自分は普通の人間』『検事という鎧(よろい)』そのギャップの中で、本当に苦しいのでしょうね。やはり彼女を応援するのは、外側にいる私たちしかいないんだろうなと思うので、何か力になれるよう運動も含めて、やれるなら回りの僕らが彼女を助けなきゃ、応援しなきゃと思いました。 今もPTSDに苦しんでいる中で、「検事としての鎧(よろい)を着て」という言葉もあった。 浜田敬子さん:例えば法律のことを聞いた時には、法律のプロとして理路整然と話されるんですけれども、ご自身の気持ちとか事件のことをお聞きすると、本当にポロポロ涙を流されるんです。もう事件から5年ぐらいたっているんですけども、それでもやっぱり本当につらいことを体験されて、それが今でもやっぱり感情として出てくるんだなということが改めて思いました。 浜田敬子さん:やっぱり時間がたってもそれは薄れることがない。一方で彼女はその経験を生かして講習の資料を作っているんです。プロフェッショナルとしての自分の使命感を持っている。ここがすごく印象的だったんです。 浜田敬子さん:自身が検事として事件に関わっている時に分からなかったことがある。例えば証拠を残しておかなきゃいけないというんですけど、ご自身はシャワーで洗い流しちゃっているわけです。当事者になったらやっぱりできないんだと。それを理解してあげるのは捜査する側なんだということで、警察や検察の方に講習を重ねているんです。私はその話を初めて聞いたので、とてもプロ意識を感じました。
■「使命感と精神的なつらさ…非常に葛藤しているのではないか」
浜田さんが取材する中で、女性検事が一番訴えたいことというのは、どういうことだったのだろうか。 浜田敬子さん:もちろん事件のことについてもそうなんですけど、それ以降の職場における二次被害のこと、さらに検察における再発防止策を作ってほしいということだと思います。 浜田敬子さん:彼女が復職する職場で、彼女が告発している副検事と一緒の職場になるわけです。それは普通の企業だったらものすごい配慮することなんです。例えばハラスメントを受けた人が、ハラスメントした人と同じ職場にならないようにするという、安全配慮義務が職場にあると言われていますが、そういったことがなぜなされなかったのか。 (※被害を訴える女性検事は同僚の副検事から「虚偽告訴」など誹謗中傷され、操作棒がと疑われる行為があったと主張している) 浜田敬子さん:さらに、例えばいろんな暴力を受けたり、ハラスメントを受けた時に訴える機関が、外部じゃなくて内部にしかない。これは非常に問題が大きいなと思いました。 関西テレビ 吉原功兼キャスター:女性検事の方は、『検事に戻りたい』という思いをおっしゃっていましたけれども、PTSDにも苦しんでいらっしゃいます。そして裁判もこれから長い戦いになると思います。私は話を聞いていて、これからの女性検事の方の精神面が大変心配になりました。 浜田敬子さん:私は最初の会見の後にずっと、性暴力の被害者を支援していたり一緒に戦っている弁護士の方とかに取材をしました。その方たちが言うには、性暴力に遭ってる女性たちにとって、彼女のような検事は『希望なんだ』と。性暴力被害というのは非常に立証が困難で、有罪にもって行くまで非常に難しいんだと。彼女のように使命感を持って、捜査手法も突き詰めている人というのは、本当に一人でも多くいて欲しいっと言われた。 浜田敬子さん:その言葉をそのまま伝えたんです。そうしたら彼女は、『ありがとうございます』と言いながらも、そこで涙ぐまれて、やはり使命感と自分の精神的なつらさで、非常に葛藤していらっしゃるんじゃないかなと感じました。 (関西テレビ「newsランナー」 2025年1月8日放送)
関西テレビ