総合病院の移転先は危険?ハザードマップでは“浸水リスク”...地元住民から「なぜここに建てるのか疑問」の声 耐震構造から免震構造への見直し要望も 市長に問うと「一定の基準で大丈夫だと判断」
「新たに建てる市の総合病院の予定地がハザードマップでは危険とされていて、不安しかありません」兵庫県宍粟市に住む視聴者から、MBSにこのようなメールが届きました。宍粟市の総合病院は4年後をめどに移転が計画されていますが、移転先の豪雨時の浸水リスクや、建物が大地震に耐えられるのかについて、住民から不安の声があがっています。 【写真で見る】病院の移転先周辺のハザードマップ
老朽化する「市内唯一の総合病院」 移転先の土地は危ない!?
兵庫県宍粟市。県内で豊岡市に次いで2番目に面積が大きく、約9割を森林が占め、一級河川の揖保川が流れる自然豊かな町です。そんな町の人々の健康を守っているのが、市内唯一の総合病院である公立宍粟総合病院です。12の診療科があり、24時間365日体制で救急患者も受け入れています。 この病院がいま直面しているのが「老朽化」の問題。建設から約40年が経ち、雨漏りの跡や壁のひびなどが目立ちます。そのため市は、2028年をめどに病院を移転し建て替える計画を進めているのです。 (病院利用者)「いいと思います。これからの人のためには、新しい病院が必要」 (病院利用者)「きれいになって、中の設備もよくなっていいかなとは思います」 歓迎の声がある一方、この移転計画に不安を訴える人がいます。10年前に脊椎管狭窄症を患ってから、定期的に病院へ通う木下清治さん(77)。生まれも育ちも宍粟市の木下さんは、移転先の土地が「危ない」といいます。 (木下清治さん)「もし3m、4m、5mなり浸水することが実際にあったら大変だと思いますよ」
付近を一級河川が流れる 過去には大規模な浸水被害
「浸水の危険」とは一体、どういうことなのか?取材班が病院の建設予定地を訪れてみました。 (記者リポート)「あちらに見えるのが新しい病院の建設予定地です。そのすぐ近くには川が流れていて、ハザードマップでは浸水のリスクが指摘されています」 移転先の土地の目と鼻の先には一級河川の揖保川が流れていて、最も近いところだとその距離は55mほどです。国交省のハザードマップでは、病院の移転先付近は激しい雨が降った場合、最大5~10mの浸水が予想されている場所もあるのです。 2009年8月、台風9号による集中豪雨では、新しく病院が建つ地域でも約200件の浸水被害が発生するなど大きな爪痕を残しました。 (木下清治さん)「なぜハザードマップで浸水リスクが指摘されているところをわざわざ選んで建てるのか疑問です。不満です」