総合病院の移転先は危険?ハザードマップでは“浸水リスク”...地元住民から「なぜここに建てるのか疑問」の声 耐震構造から免震構造への見直し要望も 市長に問うと「一定の基準で大丈夫だと判断」
建設コスト削減のため「耐震」構造に 住民は見直しを求めて署名を提出
また、災害をめぐっては他にも心配事があるようです。今年8月、市が開いた住民説明会では次のような声があがりました。 【説明会で出た質問より】 「建設予定地は山崎断層帯が位置している場所と聞いている。なぜ免震構造から耐震構造へ変更されたのか」
宍粟市には、岡山県南部から兵庫県南東部にかけて分布する山崎断層帯が通っていて、市内の最大震度は6強が想定されています。そのため市は当初、病院の建築方法を「免震」構造としていましたが、今年6月、建設コストを削減するため「耐震」構造に変更すると発表したのです。 「耐震」は建物を頑丈に作り、地震の揺れに耐える構造です。一方、「免震」は地面と建物の間に装置を入れることで、建物に揺れを直接伝えにくくする構造です。病院で行われた震動実験では、阪神・淡路大震災と同じ規模の揺れを加えると、ベッドなどが大きく動く耐震構造に比べ、免震構造では物の移動が少ない結果となりました。 今年1月に起きた能登半島地震で最大震度6強を観測した石川県七尾市にある恵寿総合病院は、免震構造だったため、被害が比較的少なく発災直後から医療を提供できたといいます。 防災建築の専門家は、地震が起きても医療を継続させるため、コストがかかっても免震構造にすることが望ましいと話します。 (防災科学技術研究所 佐藤栄児主任研究員)「耐震でも大丈夫だという視点があったのと、免震で建てるとコストがかかるので、それほど重要視されていなかった。阪神・淡路大震災のような被害が起きたときのように、病院さえ機能していれば助けられた命が助けられなかった。人命を守るうえでは、免震構造のほうが圧倒的に有利だと思います」 地元住民らは建て替え計画の見直しを求め、これまでにのべ7500筆以上の署名を集め、市長に提出しています。
市長「100%というのはなかなか難しい」
住民らの声に市長はどう考えているのか。まず、建設予定地の浸水リスクについて尋ねると… (宍粟市 福元晶三市長)「いろいろな角度から総合的に判断して、3mのかさ上げによって減災・防災に対応できるようにしようと」 予定地に盛り土をするほか、国や県と協力し、上流にあるダムの補強を進めているといいます。また、耐震構造で病院を建てることについては… (宍粟市 福元晶三市長)「100%というのは何をやってもなかなか難しい。より安全性を担保するということで、一定の基準で大丈夫だと判断させていただきました」 官公庁など重要な施設を建設する際の基準を満たすことなどから、震度6強の地震が起きても揺れに耐えられるといいます。
病院を利用する木下さんは、市に徹底した不安の解消を望んでいます。 (木下清治さん)「行政の説明は不十分だと思います。建てることに関して何も反対しません。建てればいい、問題は中身です」 市内で唯一の総合病院。住民の意見に耳を傾け、十分な対策と説明が求められます。 (2024年12月16日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『発掘!憤マン』より)