レントゲンで「異常なし」の膝・関節の痛み… 原因や治療法、費用目安を医師が解説
滑膜や脂肪体が原因の痛みはどう治療するのか?
編集部: 滑膜や脂肪体が原因の場合、どのようにして治療するのですか? 奥野先生: こうした痛みは「異常な血管」によって引き起こされると考えられており、この「異常な血管」をモヤモヤ血管と呼んでいます。当院を例にすると、これに対しカテーテル治療を行うことで症状の改善を促しています。 編集部: カテーテル治療で炎症による痛みが治るのですね。 奥野先生: はい。アメリカでは2022年、ドイツでは2023年に保険適用とされています。日本ではまだ自由診療ですが、今後は保険が適用になるのではないかと予測されています。 編集部: どのような治療ですか? 奥野先生: 「運動器カテーテル治療」と呼ばれ、モヤモヤ血管のために開発された極めて細いカテーテル(細いチューブ)を使って薬剤を注入します。局所麻酬で行われ、治療時間は片膝30分くらいです。 編集部: どのような仕組みになっているのですか? 奥野先生: 薬剤の粒子がモヤモヤ血管を詰まらせ、血管を撃退します。それにより、痛みの原因を消失させることができるのです。 編集部: 費用の目安はどれくらいですか? 奥野先生: 自由診療となるため、医療機関によって異なります。また、治療をする部位によっても異なるので詳しくは医療機関にご相談ください。たとえば当院では、膝の痛みで片側治療の場合は29万5000円になります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 奥野先生: 従来だと、たとえ膝や関節に痛みがあってもレントゲンで異常がなければ「様子を見ましょう」と医師に言われることが多く、「特に治療の必要はない」とされるのが一般的でした。 しかし、現在は早めに炎症を抑えることで、痛みの解消が期待できますし、また将来起こりうる関節の変形も防げるといわれています。 痛みが強い時期に何も有効な治療をしないで放っておくと、ますます変形が進んでしまいます。レントゲン検査で「異常がない」といわれても痛みが持続するようなら、早めに専門の医療機関を受診することをお勧めします。