やる気のない部下の「目の色が変わる」指導法3つ、子どもに宿題をさせることとよく似ている
しかしここで、「細かい仕事だけどなんとか頑張ってね、頼むよ」と伝えるのか、「ユーザーの気持ちをもっとも感じることができる仕事だから、頼むね」と伝えるのかで、受け手の気持ちは全く変わるはずです。 後者は、その仕事が持つ「意味」や「価値」を伝えており、仕事へのモチベーションがぐっと高まる伝え方です。また、そのような意識を持って仕事に取り組むからこそ、印象に残ったユーザーの言葉や、ユニークな意見などのフィードバックもしやすくなるのです。
このことについては、相手にとってネガティブな内容をフィードバックする時も同様です。 例えば、仕事の期限が遅れている人に対して、残業してでもやる必要があると伝える時、しっかりと伝える必要があるものの、どうしてもネガティブな話になりがちです。 そんな時は、仕事の価値自体をネガティブに伝えないことが大切なので、「面倒な仕事だけど、なんとか期日までに終わらせてね」といった伝え方はしない、ということです。
そうではなく、その仕事が持つ「意味」を明確に伝えた上で、「期日までに頑張ろう」と励ますように伝えるといいでしょう。 ■日々の業務の中で忘れがちな「思い」 日々の業務をこなしている中では、往々にして、仕事の「意味」や「価値」、その仕事が持つ「可能性」や、エンドユーザーに届けたい「思い」といったことを忘れがちです。 でも、それらは本質的にどんな仕事の中にも存在します。その部分を見ることができず、伝えることができないリーダーは、チームのマネジメントにおいてかなり苦戦するのではないでしょうか。
自分はエンドユーザーにどのような商品やサービスを提供する会社やチームのリーダーなのか? その仕事にはどのような社会的な意義があるのか? そうした自分自身が置かれている立場や責務に常に意識的であるからこそ、部下やメンバーに1つひとつの仕事の「意味」と「価値」を伝えることができます。 また、そこにリーダーとしての言葉の重みや、受け手の「納得感」などの差も生じるのだと思います。 たとえネガティブなことを伝える時でも、仕事自体をネガティブに伝えないようにする――。リーダー職にある人は知っておいてほしいと思います。
池本 博則 :株式会社ユニークピース代表取締役社長