74歳、ひとり暮らしが経験した「実家の片づけ」。膨大な遺品と向き合い、感じたこと
実家の土地の売却
第二課題の土地売却は、不動産屋とできるだけ密に打ち合わせながら数か所の買い手候補から、一つの建築業者を選びました。土地の値段が下がりだした頃の時期に当たり、予想どおりの安値でした…。
ひとり住まいの新居探し。選んだ場所は郊外の団地
そして第三課題。実家を売却したお金で購入する私自身の新居探しです。当時もう高齢だったこともあり、不案内の土地よりは、実家に近いところに住んだほうが地の利がいいと思いましたが、東京23区内では、手頃な物件がありませんでした。 実家の遺品廃棄料に予想以上のお金がかかったため、捨てきれなかった家具などが残され、手の届きそうな中古物件でもワンルームマンションには、とても収まらない量だったのです。 そのとき不動産屋が、私にも買えそうな郊外の分譲団地はどうかという案を出してくれました。かなり遠地のイメージがある、しかも慣れない巨大団地などは、当初とんでもないと思ったのですが、見学も勉強だと思い直して案内してもらうと、なんと緑豊かな土地柄と、行政規模での林野の手入れ。じつに都会的な街並みと自然とのハイセンスな混合体に驚きました。 物件の広さも、改装されていた間取りも想像以上で、私には理想的でした。 この地との遭遇は、まさに「出合い」だったのです。 とはいえ、その後10年で売却をすることになるのですが…。
小笠原洋子