成海璃子”二宮”がヒルコとは限らない? 残り1話、”神”と”愚かな人間”に救いはあるのか?『全領域異常解決室』第9話考察
ヒルコの「選別」により大量の自殺者が…。
以前、興玉が二宮について「純然たる正義感が見える」と言っていた。正義がいつも正しいとは限らない。誰かを犠牲にする正義だってある。 特に、「今の世の中を作り替えることが正義」なのだとしたら、多くの犠牲が出るのは正義のもとでは致し方がない、と考えるのは自然だろう。それを現すかのように、世の中では大量自殺が発生する。これがヒルコの「選別」。 「ネットに夢中になってSNSでくだらないウソや噂を見て、全部分かったつもりになっている馬鹿たち」が死んでいく。寿が作ったSNSがその死を誘発している。 「全てを分かろうとするなんて、人間の傲慢です」と興玉は言っていた。きっと、大昔から人間はそういう生き物だ。けれど、ネット…科学の進化によって人間はまた愚かになったのかもしれない。 しかし、二宮の首筋に、ヒルコが乗っ取るときに使う札が貼られているかどうか見えなかった。ということは、まだ二宮がヒルコとは限らない、と思ってしまう。 それに予告では興玉が「僕がヒルコです」って言っていたし、もう何が何やら、である。いやそれも、興玉が札を貼られている可能性もあるか…。 いずれにしても、「人間は愚か」ということには変わりはない。それでも最終話、何か少しでも人間に望みがあると信じたい、と思ってしまうのは人間の傲慢だろうか。 ところで、個人的に芹田と小夢、興玉の関係性がときめく…。おそらく、小夢と興玉の想いが通じ合っていて、芹田はそのことに気がついている、というのがなんとも。もちろん、恋愛メインの話ではないのだけど、小夢の幸せを一番に願っているんだろうなあ、というのが伝わって辛い。 とはいえ、小夢は神から人間になってしまったから、今後、芹田が生まれ変わったとしても小夢とは一緒になれない可能性が圧倒的に高い。それを考えると…。 最終話直前だが、全方位におもしろくて困る、『全領域異常解決室』。 【著者プロフィール:ふくだりょうこ】 大阪生まれ関東育ちのライター。 大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。 ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。
ふくだりょうこ