一部改良を実施したトヨタ「GR86」とスバル「BRZ」。発売から3年、D型になり成熟度が増したFRスポーツの姿
トヨタ自動車(GR)とSUBARUが協業して造り上げたスポーツカー「GR86」ならびに「BRZ」が2024年7月、商品性を向上させるため一部改良を行った。現行型のBRZは2021年7月末、GR86は約3カ月遅れて2021年10月末に登場したが、両車ではその後も定期的な一部改良を施しており、改良回数のカウントから今回は「D型」を名乗る。 【写真を見る】一部改良モデルを実施したトヨタ「GR86」とSUBARU「BRZ」の内外装をチェック。スーター耐久シリーズ参戦車両やGR86特別仕様車も紹介(92枚) 公道試乗に先だって行われた富士スピードウェイのショートサーキット試乗では、GR86/BRZとも、ひとつ前のC型と乗り比べながら改良ポイントを体感しつつ、両車の違いについても改めて検証を行った。
たしかに両車は生粋のスポーツカーだが市販車でもある。よって総合判断は公道試乗のあとに行うとして、今回は両車がもっとも得意とするダイナミックな走行シーンのうち、一部改良ポイントの体感に的を絞ってレポートしたい。 【写真】一部改良モデルを実施したトヨタ「GR86」とSUBARU「BRZ」の内外装をチェック。スーター耐久シリーズ参戦車両やGR86特別仕様車も紹介(92枚) ■BRZサーキット走行インプレッション
まずはBRZからコースインする。水平対向4気筒2.4Lエンジン(235PS/250N・m)そのものには変更がなく、アクセル操作に対する初期反応にしても従来イメージのまま。一方で足まわりは大きく生まれ変わった。D型では前後ダンパーの減衰特性を変更し、前後左右の車輪接地感をより高めている。 足の動きを少々大げさにいえば、C型がジワッと動いたところをD型ではスッと初期段階からスムースに反応させ、その後はC型同様にグッと踏ん張る特性につなげている。車体の動き出しがよりスムースになったことから、実質変化はないものの車両重量が軽く感じられる。ここが相違点だ。
試乗時は前日からの雨が残り路面はウエット状態だったが、運転支援技術のひとつで車両挙動安定装置である「VSC」(SUBARUではVDC)機能をすべてオフにした状態であっても、唐突なアンダーステアによるグリップ力の抜けを感じたり、過度なオーバーステア状態に陥ったりすることがなかった。 もっとも、タイヤの摩擦円を一気に超えるような乱暴な運転操作ではコントロール性を失うものの、丁寧な運転操作では絶妙なスリップアングルを保ちつつ一体感のある走りが堪能できる。この余裕こそBRZならではだ。