本当に奇妙だ……レッドブルF1の失速にライバル注視。メルセデス代表「ペースは落ちているが一時的なモノかもしれない」
メルセデスのトト・ウルフは、ここ最近のレッドブルの不調が「本当に奇妙なこと」だとして、一時的なモノなのではないかと警戒。その中でマシンの競争力を維持するマックス・フェルスタッペンのドライバー個人としての能力を高く評価した。 【ギャラリー】F1史上最も醜い、2014年のF1マシン全車 シーズン序盤こそ昨年のような圧倒的強さを見せていたレッドブルだが、シーズン後半戦に入り、上位争いで優勝に届かないレースが続いている。 イタリアGPではレッドブルの苦戦が顕著にあらわれ、フェルスタッペンは予選7番手から6位フィニッシュ。チームメイトのセルジオ・ペレスは予選順位のまま8位でチェッカーを受けた。 マクラーレンがアップデート投入を通じてグリッド最速にまで躍り出て、サマーブレイク前にはメルセデスが優勝戦線の仲間入り。フェラーリも力を取り戻しつつあることから、レッドブルはコンストラクターズランキングで首位が危うい状況となっている。 フェルスタッペン自身、イタリアGPでの不振を受けて、レッドブルが両タイトルを維持するのは「現実的ではない」と語っており、ドライバーズランキングではランド・ノリスが62ポイント、コンストラクターズランキングではマクラーレンがわずか8ポイント差まで迫っている。 過去にレッドブルと覇権を争ってきたメルセデスのウルフ代表は、ライバルチームがペースを失っていく姿を見るのは奇妙なことだという。しかし、手遅れな状況になる前にレッドブルの調子が好転する可能性は否定しなかった。 「本当に奇妙なことだよ。私に洞察力がないのは明らかだが、支配していた年明けのレッドブルとは全く違う」とウルフ代表は言う。 「マックスの実力でしばらくはこの調子を維持できたと思うけど、今の結果だけだと(ペースが)落ちてきているように見える。内部で何が起こっているのかは把握していないが、私にはそう見えている。そう言っているのは、これが一時的なモノかもしれないからだ」 「(レッドブルにとってイタリアGPは)ペースが無く、ここ何年も見てきた中でおそらく最悪のレースだった。でも、そんなこと誰が言えるだろうか? 我々は2年間、何も機能していなかったし、フェラーリも数レース前までそうだった」 「だから、彼らを見限ることはできないと思う。彼らは手強いチームだし、もっと良いレースができると思う。でもマクラーレンがコンストラクターズタイトル獲得の最有力候補であるのは明らかだし、彼らはドライバーふたりでポイントを持ち帰っている」 「レッドブルも今年の初めには、そんなこと予想していなかっただろう」 週末ごとにサーキット、天候、タイヤの摩耗やマシンパッケージが異なるため、差が小さい上位陣では、誰が表彰台に登ることができるかを予想するのは容易ではない。 レッドブルとフェルスタッペンが見せたここ数年の圧勝劇とは大違いだ。直近7戦では6名が優勝しており、その中で複数回優勝したのはメルセデスのルイス・ハミルトンだけだ。 ウルフ代表は、この状況はファンにより良い展開だと語った。 「F1にとって素晴らしいことで。本物のロックンロールだね」とウルフ代表は言う。 「フェラーリを見ても、ある週末に調子を崩すことがあったかと思えば、ザントフールトのレースで息を吹き返し、モンツァでは巧みな戦略で勝利を収めた」 「トップ4チームの間で見られるこの変動は、ファンにとってもスポーツにとっても素晴らしいニュースだ。表彰台を狙えるマシンが7~8台あるのは素晴らしいことだ」 レッドブルは次戦アゼルバイジャンGPに向けて、早急な解決を望んでいるに違いないが、マクラーレンがイタリアGPと同じようなパフォーマンスを発揮できれば、コンストラクターズランキングでレッドブルを抜き首位に躍り出ることとなる。
Mark Mann-Bryans