【インド】耐久消費財、本年度は最大12%成長見通し
インドの耐久消費財メーカーの本年度(2024年4月~25年3月)の売上高は前年度比で11~12%増となる見込みだ。地場格付け会社クリシルの報告書で分かった。金融機関が融資を積極化しているほか、消費者のプレミアム化し好が後押ししているとみている。 クリシルは、売上高ベースで市場の55~60%を占める耐久消費財メーカー8社を対象に調査した。 テレビや洗濯機、エアコン、冷蔵庫などの大型家電を製造する耐久消費財メーカーの本年度の売上高は昨年度の13%増に続き、2桁成長で好調を維持すると予想。祭事シーズンの消費の活発化と住宅販売の力強い伸びが数量ベースで成長を下支えするとみている。また、4~6月の猛暑期にエアコン製品の需要が旺盛だったことも好調要因の一つに挙げた。 ■高まる「大型」需要 売れ筋については、全体として、スマートフォンと連動した「スマート耐久消費財」と「大型・大容量の製品」が特徴という。ここ数年で主要7都市の住宅販売が急増し、新居購入に伴う需要増も今後期待できるとした。 製品カテゴリー別では、冷蔵庫は週末に買いだめした食材や冷凍食品を収納できる大容量が人気。洗濯機は、労働人口(就労者と休職者の合計)の増加に伴い、週末に洗濯をする傾向が高まり、大型が市場をけん引している。 テレビは、55インチ以上と55インチ未満の価格差が縮小しており、液晶パネルのサイズによる製造実現(設計・開発、製造、検査、納入までの一連の工程)のバラツキを抑えるのに寄与していると分析する。 ■設備投資は昨年度と同規模 クリシル・レーティングスのディレクター、ショウナク・チャクラバルティ氏は、月賦やクレジットカード・ローン、後払いスキームなど各種ローンが充実しており、これらの融資残高は過去4年で倍増し、本年度も前年度比18~20%成長が見込まれると述べた。 一方、営業利益率は、原材料価格が安定したことで、前年度の6.5%から本年度は6.8~7%に改善すると予測した。ただ、メーカー間の競争激化で値引き率が拡大し、新型コロナウイルス禍前の10.1%(19/20年度)や9.3%(20/21年度)は下回っている。 メーカーの本年度の設備投資は180億~200億ルピー(約330億~366億円)と試算され、前年度と同程度にとどまる見通し。設備投資の大部分は、あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT」対応の製品開発強化に充てられるとした。