子どもの「呟き」に反応できれば授業は最高潮に盛り上げる!
コトバ②
「変わっていいからね」「話し合いを聞いてから、また考えが変わるかもしれないね」
安心感と、対話の必然性を生むコトバがけを
国語の読み取りの授業では、こどもたちに考えをつくらせ、意見を書かせることが多々あります。 そんな時子どもたちの中には、「間違ってはいけない」という気持ちが強く働く子たちがいます。高学年になってくると、「恥をかきたくない」という気持ちも強くなってきます。我々大人だってそうですよね。 その時に、「(意見が)変わってもいいよ」と声をかけてあげることは、子どもたちに少しの安心感を与えます。 そして、「話し合いを聞いてから、また考えが変わるかもしれないね」というコトバは、今から行われる話し合いに意義を持たせ、対話する必然性を生みます。 言い換えれば、「きちんと話し合いを聞いていなさいよ。自分の意見を左右するかもしれない話し合いが、今から行われますよ」ということなのです。ちょうどこの原稿を書いている今日、担任している2年生の子どもたちと、学年末の国語の授業の最終章を行っていました。テーマは『2A物語ランキング』です。 これまで学んできた物語文4つ(『スイミー』『お手紙』『私はおねえさん』『スーホの白い馬』)を振り返り、クラスのランキング1位を決めるのです。当然、1位なんて決められません(笑)。しかし、敢えて子どもたちにはランキングを決めよう、と伝えます。そうして、「座談会」(話し合い活動)に入ります。子どもたちは自分が選んだナンバーワン物語を、それぞれ理由と共に主張します。授業は大変盛り上がりました。 さて、この授業でも今回のコトバは重宝しました。子どもたちはいきなり、「1位」を決めることはできません。 こちらもそれを望んでいません。話し合いを経て、みんなで考えて、自分の意見を練り上げていってほしいのです。 そこで、「ランキングはもちろん、みんなで座談会をした後に、変わっていいからね」と伝えました。それにより、子どもたちは「とりあえずの意見」を決めることができます。 さらに、「まよっています。みんなの意見を聞きたいです」という展開にもなります。 これこそ、対話の真骨頂です。みんなに自分の考えを一旦ゆだねる。そして話し合いを受けて、再度自分の考えをつくる。 これらの流れをつくり出すのが、「変わっていいからね」「考えが変わるかもしれないね」というコトバなのです。話し合い活動を必然性のあるものにするのも、教師のコトバがけ一つなのです。 今月のまとめ 「呟き」を上手に取り出すコトバをつかって、授業の密度を上げよう。話し合い活動はプロの仕事。安心感と必然性を生むコトバをつかいこなして、プロ教師への道をひらけ! 森川 正樹 関西学院初等部教諭。授業で勝負する教師のためのセミナー「教師の詳細辞典セミナー」講師。国語科の「書くこと指導」「 言葉の指導」に力を注ぎ、「書きたくてたまらない子」を 育てる実践が、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、日本教育新聞などで取り上げられる。県内外で「国語科」「学級経営」などの教員研修、校内研修の講師、学生に向けたセミナー講師もつとめる。著書に『授業の質を上げる 超一流教師のすごいメモ』『どの子も書きまくる!作文指導アイデア』(いずれも明治図書)、教師のためのスケジュール帳『ティーチャーズ ログノート(』フォーラムA)の監修など多数。 *『月刊教員養成セミナー2024年6月号』 『教師力がアップする“教室コトバ”辞典』より 教師になったら即 “使える”コトバを毎月ご紹介。豊富な経験から生まれたコトバたちは心強い味方になってくれますよ。是非ご覧あれ!