法隆寺に飛鳥時代の落書き 金堂火災後に発見、天井板に
奈良県斑鳩町の世界遺産・法隆寺金堂(飛鳥時代)の建立時に天井板に描かれた男性の顔の落書きが1949年の火災で焼損した部材に残っており、その写真が昨年刊行された「法隆寺金堂古材調査報告書」で掲載されていることが25日分かった。文化審議会は5月にこの天井板を含む約3200点を貴重な部材として国宝に追加指定するように答申した。報告書を担当した奈良県文化財保存事務所の岩永雄一郎主査は「この落書きの写真公開は初めてではないか」としている。 金堂からは45年の解体修理の際に約20点の顔の他、漢字、馬など200点以上ともされる落書きが発見されたが、今回の天井板は取り外されず、落書きは見つかっていなかった。 東京国立博物館の清水健主任研究員(仏教美術史)は「飛鳥時代の世俗的な絵は希少だ」と評価。東京芸術大の有賀祥隆客員教授(東洋日本美術史)は「金堂建立に関わった絵師が仕事仲間を描いたのだろう」と話している。
落書きは布製の冠をかぶった男性の顔で、大きさは縦約5センチ。顔の上にも曲げた右手が描かれている。