新NISA「つみたて投資枠」の行方、NISA買付額の22%にとどまるシェアを拡大するには?
日本証券業協会が9月18日に発表した「NISA口座の開設・利用状況」によると、2024年6月末時点でNISA口座の総数は2428万口座。1月~6月の半年で303万口座増加した。増加口座数は1月~3月の198万口座と比較すると、4月~6月は105万口座と増加数は鈍っているが、昨年同時期(2023年4月~6月)の68万口座と比較すると1.5倍の増加ペースであり、「新NISA」が投資を始めるきっかけとして依然として効果を発揮していることがうかがえる。ただ、NISAの買付額のうち、「成長投資枠」が78%を占める。資産運用立国を掲げ、新NISAをスタートさせたことで、もっとも増加が期待されたのは「つみたて投資で資産形成を始める新規投資家」の増加だったろう。それは「つみたて投資枠」を使って投資を始めるイメージが強かった。「つみたて投資枠」の利用促進は、1つの課題として意識されるのではないだろうか。
「つみたて投資枠」の利用が進まない理由は、投資枠としての魅力が「成長投資枠」に比べて小さいからに他ならない。まず、名前の通り「つみたて投資」という投資手段でないと投資ができない。タイミングを計って、今日買って明日売るような自由な売買ができない。また、投資枠の年間限度額が「成長投資枠」より小さい。「成長投資枠」は年間240万円の非課税投資枠があるが、「つみたて投資枠」は年間120万円だ。さらに、「つみたて投資枠」で投資できる商品が極端に少ない。たとえば、「成長投資枠」では株式も投資対象であり、投資信託の対象銘柄数は1969本、ETF(上場投資信託)は325本になる。「つみたて投資枠」は投資信託だけ(ETF含む)が投資対象で、その投資信託も銘柄数は292本、ETFは8本で合計300本だ。
加えて、投資信託も「成長投資枠」は、「日本株&Jリート 好配当フォーカスファンド」、「まあるい未来共創ファンド cotocoto」、「ニッセイ欧州株式厳選ファンド リスクコントロールコース」、「SBI全世界高配当株式ファンド(年1回決算型)」など、最近の新しいトレンドを踏まえた新ファンドが次々と対象ファンドに加えられている。「つみたて投資枠」で最近加わったのは9月17日の「インデックスファンド225(日本株式)」で目新しさもなく、日経平均株価(225)連動のインデックスファンドなら既にいくつも対象ファンドになっている。