ユン大統領の拘束めぐる激しい攻防...市民が民主主義を体現している?日本は韓国を見習うべきなのか
韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拘束令状が7日、再発布された。「非常戒厳」をめぐる混乱は、年が明けても続いている。 【映像】警察と支持者の攻防戦(実際の映像) 韓国内で大統領の支持派と反対派がデモを通して声を上げるなか、日本のSNS上では「民主主義を守ろうとする国民の行動力がすごい」「日本も見習うべき」といった意見が上がっている。「日本人は政治に無関心」「平和ボケ」などと言われ、意見があってもデモに参加する人は少ないとも指摘されるが、果たして本当に日本は韓国の民主主義を見習うべきなのか?『ABEMA Prime』で識者とともに考えた。
■韓国の民主主義を見習うべき?見習わないべき?
非常戒厳当日に韓国の国会周辺に滞在していた、弁護士で「新外交イニシアティブ」代表の猿田佐世氏は、「韓国の民主主義には見習うべき点が多い」と感じたという。韓国のデモは、とにかく“自然体”で、一人一人が平和的に「何とかしたい」思いがあるとして、発令から数時間で数千人が参集した瞬発力を評価する。 また、日本のデモに比べ年齢層が低く、カップルや友達同士での参加者もいる点も特徴だそうだ。猿田氏は「デート帰りのカップルや、食事している家族が自然体で来て、スマートフォンで自撮りしながら、親に『今こんな風になっている』と知らせる」と説明する。 過去の戒厳令は、軍政時代に多く出された。「戒厳令下では大勢の人が殺された。民主政治になって、30年以上たった韓国はどうしちゃったのか。止めないといけないとの思いから、若い世代から60代まで、雪が降る深夜に集まる」といい、「国の問題に対する『解決しなきゃ』の当事者意識は、まねするべきだ」と語った。 一方、在日コリアン3世で元毎日新聞記者の韓光勲(ハン・カンフン)氏は、「見習うなんてとんでもない」と主張する。韓国民主主義の“弱点”として、政権が変わるたびに外交政策が変わるため、「外国から信用されない」「外交で圧倒的に不利」といった点を挙げる。また、大統領の弾劾訴追が頻発すれば、「国会で多数をとれば大統領をクビにできる」ことになる。そして、大統領の任期が短いため、1期5年間では一貫した政策遂行が出来ないことも見習うべきではない理由として説明。 今回の非常戒厳について、当初は「すぐ反応するのはすごい」と感じていたが、「1~2週間たつと、単純に捉えていい問題なのか…という疑問が湧いたという。『デモに行かないといけない』のは、国民にとって不幸なことではないか。普通に経済を回した方がいい」と意見した。