2025年、巳年の市場を待つのは大パニックか?トランプ再選の影響と「世界恐慌」との類似点
2025年は巳年。過去には、バブル経済の絶頂やアベノミクス相場が該当するが、世界を震撼させた大恐慌の始まりも、また巳年であった。トランプ大統領の再選を受け米国株は最高値を更新する一方で、100年前の世界恐慌前夜と酷似した状況があると、『マネーの代理人たち』の著者で米国在住の経済ジャーナリストの小出・フィッシャー・美奈氏は指摘する。はたして歴史は繰り返されるのか……。 【一覧を見る】運用資産1億円の投資家が保有する115銘柄を一挙公開…!
巳年(みどし)の金運は良い?
干支の巳年(みどし)と言うのは、お金と縁が深いらしい 。仏教で白蛇は七福神の唯一の女神、弁天様(弁財天)の化身とされる。弁財天は元々インド神話では河の神様・水神で、豊穣からの連想か、金運を司る神にもなった。山口県の岩国白蛇神社など、日本にも白蛇をお祭りする神社仏閣がいくつかある。 前回の巳年は、「アベノミクス」で世界の投資家が日本を買った2013年(日経平均+56。7%)。日本がバブル経済に酔った1989年(+29%)も、巳年だった。過去およそ100年間、8回の巳年のうち、5回は上昇、3回は下落の「5勝3敗」ということだが、さて、2025年はどうだろう。 トランプ再選を受けて、市場は「強いアメリカ」に揺り戻した。米国株は史上最高値を更新、為替は再び円安が進んだ。米国が利下げに動いたのだから、本来なら日米の金利差は縮まり、ドルの魅力が相対的に減少して円高方向に修正されるはずだ。にもかかわらず再び円安になったのは、トランプの景気刺激策でインフレが再燃し、金利引き下げは遠のくだろう、と市場が先読みしたことによる。 新年相場の鍵は、市場の「期待」を繋ぎ止めることができるかどうかだろう。 新型コロナショックの調整以来、日本株は2倍以上、米国株は3倍近くになった。本来株を買うというのは、企業の一部を所有する行為だから、株価は企業収益や、そこから生み出されるキャッシュの流れ、またその前提となる景気や実体経済と連動するはずだ。でも実際には、日米のGDPが倍増した訳ではない。 つまり、超低金利の金あまりの中で、経済成長をはるかに超えて、株価だけが上昇するという現象が続いてきたのだ。経済の実態や金利などの条件が変わらない時に株を動かすのは、良い景気が続いて将来の企業収益が成長するだろうという市場の期待値だ。リスクに対する感受性が低下している証左でもある。 第二次トランプ政権がやるであろう減税や規制緩和などの効果はかなり株価に織り込まれていると見るべきで、この先は、期待以上の政策が発表されるなど、市場を動かす「材料」が出るかどうかにかかってくる。期待を超える材料が出なければ「辰巳天井」の頭打ちとなり、そこから一気に調整が始まるリスクがある。 当面、より確実な見通しは、上下どちらに動くとしても「ボラティリティー(変動率)」が上がりそう、ということだ。12月18日にはFRB(米連邦準備理事会)パウエル議長の発言を受けて、ウォール街の「恐怖指数」として知られるボラティリティー指数(VIX)が74%も飛び跳ね、史上2番目の高騰を記録した。市場の変動率で利鞘を稼ぐオプション取引もブームの兆しを見せている。