ホンダ新型EV「ゼロシリーズ」に搭載予定の次世代技術とは?【Honda 0 Tech Meeting2024】
”Thin”/”Light”を実現する生産技術
────────── バッテリーケース 製造技術の進化 ────────── バッテリーケースの製造ラインに、6000 トンクラスのメガキャスト(高圧高精度鋳造マシン)を採用。従来60部品を超える部品数を5部品に大きく削減したほか 、モデルサイズによって異なる専用部品と共通部品をFSW技術で接合することで 、 多様な部品を効率よく作り分けることができ、 生産効率向上と投資抑制を図っている。 ────────── 車体軽量化技術の進化 ────────── 世界初のCDC接合技術により、軽く強度の高い素材の使用範囲を拡大することが可能となった。ボディー骨格の軽量化による電費の向上と、衝突安全性能を両立。 ────────── バッテリーパック組み立てラインにおける生産方式の進化 ────────── バッテリーパックの組み立てラインでは、生産効率と柔軟性を両立した新開発のセル生産方式を採用。複数のセルを AGV(Automatic Guided Vehicle: 無人搬送機) で接続し、柔軟に工程を組み合わせることができる「フレックスセル生産システム」により、生産機種の変更/生産量の変動にフレキシブルな対応が可能に。
■”Wise ”(賢く)
ホンダがこれまで培ってきた知見と知能化技術の進化により、クルマそのものが賢くなる、ホンダ独自のソフトウェアデファインドビークル(SDV)を実現。具体的には、独自のビークルOSを搭載し、コネクテッド技術の進化と合わせて、ユーザーに合わせ最適化した知能化技術により、新しい移動体験の提供を目指す。また車両の購入後も、クルマの機能はOTA(Over The Air)により継続的にアップデートされ、ホンダらしい魅力的な商品へと進化していく。 ────────── AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム) ────────── ホンダのAD/ADASは、運転中だけでなく、自宅から目的地まで、安全/安心でシームレスな人の移動を支援し、思わず出かけたくなるような体験を提供することを目指している。 2021年には、自動運転レベル3 (アイズオフ):条件付自動運転車(限定領域)に適合する先進技術を有する「Honda SENSING Elite (ホンダセンシングエリート)」を搭載した「LEGEND (レジェンド)」を発売し、自動運転レベル3を実用化。 Honda 0シリーズでは、この技術を活用したAD/ADAS技術を採用し、より多くのユーザーが手の届く自動運転車を提供するほか、高速道路での渋滞時アイズオフ技術を皮切りに、 OTAによる機能アップデートを通じて、さらに運転支援/自動運転レベル3適用(アイズオフ)範囲の拡大を可能とするシステムを搭載。LiDARによる高精度で信頼性の高いセンシングや、全周囲の高精細カメラセンシング、独自のAIやセンサーフュージョンに対応可能なハイパフォーマンスECUの装備など、さらなる進化が加えられている。 ────────── 操る喜び ────────── さらなる安全/安心の実現に向けて自動運転技術を進化させる一方で、さまざまな制御をシームレスに連動させるホンダ独自のダイナミクス統合制御により、軽快で、⼼も⾝体もクルマと⼀体になる⾼揚感を得られる次世代の操る喜びの提供を目指している。 ステアバイワイヤを採用し、ステアリング/サスペンション/ブレーキなどのバイワイヤデバイスを統合制御することで、意のままのハンドリングを実現。また、ホンダ独自のロボティクス技術で培った、3次元ジャイロセンサーを用いた高精度の3次元ジャイロ姿勢推定と安定化制御により、挙動が乱れる前に車体を安定化し、旋回を滑らかに。加速時には、電動モーターとブレーキが連動し、高速/高精度にタイヤのグリップを制御。さまざまな路面環境において安定した気持ちの良い加速を実現。 ────────── エネルギーマネジメント ────────── HEVで培ったバッテリーマネジメント技術と 、バッテリーの熱マネジメントを含めた、新開発のサーマルマネジメント技術を組み合わせ、ユーザー使い勝手に合わせた快適な車内空間と実用性の高い航続距離を実現。具体的には、パワーユニットの高効率化により、 EPAモードで300マイルクラスの航続距離を実現するほか、とくに暖房などの使用により航続距離の低下が懸念される冬季への対応として、人中心の「温感」を指標とする快適性と省電力の両立を追求。輻射熱により車内を温める輻射ヒ ーターと、ヒートポンプの高効率運転により、暖房消費電力を約13%削減し、エネルギー消費を最小化する。 ────────── デジタルUX ────────── 知能化とデジタル技術の活用により、ユーザーのストレスは最小化しながら、運転や車内空間での楽しさを最大化し、クルマでの移動における新たな感動体験の提供を目指す。ストレスのない車内体験の提供に向けては、IVI(In Vehicle Infotainment:車載インフォテイメント)における操作のシンプル化を徹底し、ユーザーへのパーソナライズ/音声アシスタントによるサポートを継続的に進化させていく。加えて、画像認識による状況理解や独自の行動予測アルゴリズムの活用により、クルマがユーザーの状況や意図を理解し、ひとりひとりに最適化、先回りした提案/サポートを行う。 また、運転や車内空間での楽しさ向上に向けては、進化の早いIT技術をいち早く活用。移動空間を盛り上げるエンタメサービスの充実はもちろん、運転好きのユーザーがさらに楽しくなるコンテンツの拡充に加え、XR(拡張現実)技術を活用し、クルマに乗っていない人ともつながる仮想同乗体験など、さまざまなコンテンツを充実。「運転して・使って・繋がって楽しい」を実現する。
────────── ●まとめ:月刊自家用車編集部 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください
月刊自家用車編集部