日本代表も競技断念→18歳で中日チア「もう大混乱」 母になった“伝説メンバー”の今
チアドラの元リーダー本多里香さん、刺激的な記憶が蘇った一夜
記録的な暑さが続いたこの夏、一夜だけ浴びたスポットライトが心地よかった。7月25日、バンテリンドームで開催された中日初のOB戦。往年の名選手たちが四苦八苦のプレーを見せるグラウンドで、11年ぶりに“勝利の女神”に戻った。球団のパフォーマンスチーム「チアドラゴンズ」(チアドラ)の元リーダー、本多里香さん。抜群の人気を誇った“伝説のチア”は、ひとときの華やかな舞台に浸った。 【実際の画像】ファンの視線釘付け“伝説メンバー”…チアドラ現役時代の本多里香さん 18歳でチアドラに加入。チームは落合博満監督時代の黄金期終盤で、2010年からリーグ連覇を果たした。優勝パレードでは、選手たちと車上から沿道に手を振った。10代の少女には刺激的すぎる体験。「何も分からなくて、『あー、すごーい! すごーい!』みたいな感じでした」。グッと口角が上がる愛らしい笑顔は、当時と何ら変わらない。 2013年までチアとして活動。最終年はリーダーを務めた。細かく記憶を呼び起こしても「いいことしかなかったかも。とにかくメンバーがみんな仲良くて、めっちゃ楽しかったです」。人生の方向転換を迫られた直後だったからこそ、その4年間はより鮮やかに感じたのかもしれない。 近所の教室に通い始めたのがきっかけで、幼少期からずっと新体操漬けの日々だった。世代の日本代表に選ばれ、国際大会にも出場。着実に実力をつけていったが、高校時代に膝を負傷し、一瞬にして競技人生が暗転した。「無理だ、この足じゃ」。選手として続けることを断念。突然、次の進路と言われても、頭の中は空っぽだった。 「もう本当に新体操にのめり込んでいたので、何をしたらいいか分かんなくて。選択肢すらない。世間知らずだったというか、新体操以外のことを何も知らなかった」 周囲からは様々な助言をもらった。新体操のキャリアを生かす大学なども紹介されたが、うまく心が動かない。「いま思うと、他のことをやってみたいという思いもあったのかも。でも決められなくて、どうしよう、どうしようって」。答えを出せず、立ちすくむ愛娘の背中を押したのは、父のひと言だった。