【ABC特集】「納税者から入院患者に転落するシステム」 安倍元総理も悩んだ難病・潰瘍性大腸炎が”国の指定”から外される危機 声を上げる患者
潰瘍性大腸炎。 大腸の炎症から腹痛や下痢、血便などに悩まされる病気で、安倍元総理も患者だった事で知られています。 原因はわかっておらず、今の医療技術では完治することはありません。発症のピークは20代から30代と、受験・就職・結婚など若い世代のライフプランに影響を与えることもあります。 【動画で見る】患者数は24~25万人 安倍元総理も苦しんだ難病「潰瘍性大腸炎」 患者らが危惧する“指定難病外し”とは
高額な治療費がかかることもあり、国から「指定難病」と認定され、患者は助成を受けることができます。しかし今、「指定難病」から外されるかもしれないと、患者達が危惧する状況に置かれています。
「自分が難病だったとは」 10錠以上の薬を服用する日々 助成制度が無くなると「病院に行く頻度が下がる
広島に住む伊藤克明さん(28)。4年前に潰瘍性大腸炎と診断されました。 高校生の時からお腹に”違和感”があったと話す伊藤さん。23歳の時、会社の友人と食事をした際に出て来たナッツで下痢が止まらなくなり、大学病院を受診します。しかし病名は分からず・・・「潰瘍性大腸炎」の診断が下るまで約1年、5つの病院を転々としたといいます。 「何か分からないっていうモヤモヤが晴れたというのはありました。ただ一方で、自分が難病だったというのは思いもしませんでした」。 その後は医師の診断・治療方針に従い、1日10錠以上の薬を服用。普通の生活が送れる「寛解」(かんかい)状態を維持しています。 1回あたり5万円近い医療費がかかることもありましたが、指定難病の助成制度のおかげで、伊藤さんの毎月の出費は最大2万円で済んでいます。 「助成制度がなかったら、(体調が悪いときは)毎月6万円ぐらい負担することになります。病院に行く頻度は、下がってくるんじゃないかと思ってます」。
原因は不明 完治もせず 患者数は年々増加
約500人の潰瘍性大腸炎患者を診ている村野実之医師(むらのクリニック院長)によると、原因ははっきりとは分かっておらず、根治のための方法も確立されていないため、症状を落ち着かせる「寛解」を維持することしかできないとのことです。そして、患者数も急増しているといいます。 (村野実之医師) 「(患者数は)2015年までで17万人でした。その後、約10年経っていますから、試算では24万人から25万人まで増えているんじゃないかと推測されています」。