【ABC特集】「納税者から入院患者に転落するシステム」 安倍元総理も悩んだ難病・潰瘍性大腸炎が”国の指定”から外される危機 声を上げる患者
「見直しについて検討」 厚労省が出した資料に患者は「指定難病から外す動きでは」
”難病”と呼ばれる病気は世界に数千あるとも言われ、厚生労働省はそのうち、「患者数が一定数以下で診断基準が確立している」341の疾病を指定難病としています。指定難病と認められた患者には医療費が助成されますが、去年の冬、厚生労働省・指定難病検討委員会の会議で、「指定難病の検討について」と題された資料が出されました。
そこには、次のように書かれています。 ・「指定難病の要件に合致しない状況であると判断される場合には、対象疾病の見直しについて検討する」 潰瘍性大腸炎も指定難病ですが、すでに「患者数が一定数以下」(人口の0.1%程度以下、当面18万人未満)という要件を満たさないのではといわれています。
そして・・・ ・「根治のための治療方法がなく、継続的な治療が必要な疾病であっても、一般と同等の社会生活を送ることが可能である場合には、該当しないものとする。」 ABCテレビの取材に対し厚生労働省は、「特定の疾患について、絞って表現したものではない」と回答しましたが、患者など当事者から「潰瘍性大腸炎などの病気を、指定難病から外す動きではないのか?」と、不安の声が上がっています。
「これほどバカな政策はない」 憤る患者会 厚労省の動きに危機感
大阪を拠点に活動する患者会「大阪IBD」は9月、”指定難病外し”問題をテーマにした講演会を開きました。布谷嘉浩代表は、厚生労働省の動きに危機感を抱いています。 (布谷嘉浩・大阪IBD代表) 「これほどバカな政策は無くて、何が起こるかというと、(患者は)経済的にしんどいので診療控えですね。そうすると体調を崩します。納税者から入院患者に転落するシステムを作っている。国にとっても損な政策をしようとしている」。
布谷氏と共に大阪IBDの共同代表を務める三好和也さんも潰瘍性大腸炎の患者で、寛解状態を維持しながら、会社員と並行して患者会活動を行っています。 (三好和也・大阪IBD共同代表) 「『普通に生活できてるやん』って言われる訳ですよ我々も。でも体調が落ちると、(費用が)莫大にかかる治療があるわけで、助成が無くなったら、私たちは病院に行けない」。
「今はガンガン働く」も・・・ 一生治らない病気と向き合う 潰瘍性大腸炎の”制度存続”を願う
広島に住む、28歳の潰瘍性大腸炎患者の伊藤さん。 半年ほど前に東京都内での仕事を辞め、昔から好きだったという瀬戸内に移住。農家などと協力し、「地元の味」をふるさと納税サイトに掲載する仕事を立ち上げました。早くも軌道に乗ったということです。 「今は素晴らしい環境にいるので、ガンガン働いています。今の制度のおかげで、いい治療法を選んで、いい状況を保てています。ただ、この病気は治りません。一生、向き合わなければなりません。この制度がなくなってしまうと困ります」。 (2024年10月9日 「newsおかえり」で放送)