「ザボディショップ」が欧米で破綻 再起の可能性は? 日本は英国本国と資本関係のないFC経営
ロンドンとニューヨークに拠点を置くリテール調査会社グローバルデータ・リテール(GLOBALDATA RETAIL)でマネジング・ディレクター兼リテール・アナリストを務めるネイル・サンダース(Neil Saunders)は、「最大の問題は、商品とブランドが消費者の心を掴めなくなったことだ」と分析する。イギリスの企業経営コンサルティング会社ソート・プロヴォーキング・コンサルティング(THOUGHT PROVOKING CONSULTING)のリチャード・ハイマン(Richard Hyman)共同経営者は、「新しいアイデアがほとんど生まれず、創設当初のオリジナリティーをしっかりと守ることもできなかった」と述べる。
「ザボディショップ」は復活できるのか
「ザボディショップ」は1976年の創設以来、ビーガン処方やクルエルティフリー(動物実験をしない)、女性のエンパワーメント、社会問題などに取り組む革新的なブランドだった。環境問題が流行するはるか以前からリサイクルを奨励し、美容のエシカル(倫理的)な前進を先導、動物実験反対やフェアトレードの推進など、インパクトのある活動を展開してきた。美に対するホリスティック(包括的)なアプローチを支持し、魅力的とされるものをよりインクルーシブに捉えることも推進した。
こうした偉大な歴史を踏まえて専門家は、大規模な資金調達や献身的なオーナー、新たな戦略などで、少なくとも部分的には回復する可能性があると考えている。サンダース=マネジング・ディレクター兼リテール・アナリストは、「ECと卸売に重点を置いたより小規模な事業体としてなら、何らかの復活を遂げることができる」と予想。特にフランチャイズ経営を通して、ヨーロッパやその他の国々で復興できる可能性は低くないと説く。
ハイマン共同経営者は、「『ザボディショップ』はすでに、小売業者というよりブランドになってしまった。商品という、ブランドの核となる部分への投資を増やす必要があるだろう。ウェブサイトをより機能的に改良し、商品を支え、ブランドの独自性を伝えるための物語をより堅固にすべきだ」と話す。英コンサルティング会社ウィズ&コー(WIZZ & CO.)のウィズ・セルヴィー(Wizz Selvey)戦略アドバイザーは、「顧客との感情的なつながりを再構築するには、長年主張してきたものの、今やありきたりになってしまったクリーンビューティから脱却すべきだ。バイオテクノロジーによって生み出した、確かな効能と実績のある商品に注力してはどうか」と分析する。