韓国・若者世代に浮上する「特定地域の消費体験」トレンド…ソウル・城東「ファッション聖地」
【12月28日 KOREA WAVE】韓国のMZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)を中心に、特定地域でしか体験できないコンテンツやブランド消費への関心が高まる「ロコノミー(Local+Economy)」トレンドが浮上している。この現象により、象徴的な企業が拠点を置く地域では周辺商圏も活性化するという分析が出ている。地域の代表ブランドや企業が多くの人を引き寄せ、結果として地域経済全体が活性化する好循環が生まれるという見方だ。 AI商圏分析プラットフォーム「オープンアップ」によると、2024年10月のソウル市城東区(ソンドング)の衣類小売業月間売上高は約111億ウォンで、前年同月比約29%増加した。この増加率はソウル市内の自治体区で最高であり、中区(チュング)(5.3%増)、江南区(カンナムグ)(12.3%減)、麻浦区(マポグ)(17.7%減)を上回る。特にソウル市全体の衣類小売業オフライン売り上げが前年同月比で5.51%減少している中、城東区が「ファッション消費の中心地」としての地位を確立していることが際立つ。 この成長の背景には、ファッションプラットフォーム「ムシンサ(MUSINSA)」が拠点を構えた影響が大きい。2022年下半期に本社を城東区聖水洞に移転し、その後複数のオフライン店舗を展開。聖水(ソンス)2街1洞では衣類小売業の売り上げが4倍以上、化粧品小売業の売り上げが10倍以上増加した。また、「ムシンサ」の進出後、トレンドをリードするブランド店舗が続々とオープンし、地域ブランドとしての地位がさらに強化されている。 一方で、地域ブランドや企業の急成長に伴い「ジェントリフィケーション(都市の富裕化現象)」への懸念も広がっている。これに対して城東区庁は、過度な家賃上昇を抑えるための支援政策を推進。2016年には一部地域を「持続可能発展区域」に指定し、2022年には聖水洞全域に拡大。この区域では、建物所有者、借主、自治体が三者間で自主協約を結ぶことを推奨している。また、地域特有の「赤レンガ建築物」の保存と普及を進めるため、2017年に条例を制定し、改修費用の一部を補助している。 業界関係者は「特定ブランドや商品を求めて地域を問わず消費者が訪れる『ロコノミー』が急成長している」と指摘。「地域を代表する企業が商圏を活性化し、これを基盤に地域全体が共に成長する好循環が実現するよう、企業と自治体が協力することが必要だ」と述べている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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