明治安田生命の中計が大転換、「生命保険会社の役割を超える」ワケ
ポイント(2):生命保険の機能の拡張
次に「生命保険の機能の拡張」である。従来の循環器病を中心に研究機関やスタートアップを含めた民間事業者と連携し、健康時から未病、罹患時の治療・重症化予防に至るまで一貫してサポートする戦略的商品を2024年11月に発表。翌年1月から発売を開始するなど、従来の生命保険商品の枠を超えたチャレンジに向けて動き出している。 (1)予防から重症化予防に至るまでQOLを応援 明治安田生命は、生命保険の機能を拡張するとして、保険給付からヘルスケアサービス、介入までを一体的に取組むとする。その象徴的な商品が2024年11月に発表した「ベストスタイル 健康キャッシュバック 循環器病 対策Pro」・「循環器病 対策Pro」である。 元々、同社は循環器病を中心にQOLを向上すべく、2021年3月~2024年3月末まで国立循環器病研究センターと連携、循環器疾患発症予測モデルの開発や引受範囲拡大にかかる調査研究などの共同研究を進めてきた。 加えて同研究センターと、2023年10月には循環器病の発症リスクの抑制や重症化予防に関して「心血管病予防・QOL推進研究部」を設置、共同研究を進めており、2027年3月まで取組んでいく。また、2023年7月には日清食品と連携、QOL向上に貢献する新たなサービスの開発に取組んできている。 こうした研究開発の取組みを活かした保険商品として、2024年11月に「ベストスタイル 健康キャッシュバック 循環器病 対策Pro」・「循環器病 対策Pro」を発表、2025年1月から発売する。 同保険商品は、加入者専用サービスとして、健康なときから未病、発症後の治療や予後に至るまで循環器病への対策を応援していくサービスを用意している。このサービスには、先述した国立循環器病研究センターや日清食品のほか、オムロンやWizWeなど、さまざまな外部パートナーと連携、パッケージ化したものとなっている。 こうした保険商品とサービスを一体化したQOL保障プログラムを提供していく方針を打ち出している。 (2)自治体や大学などとの共創推進 循環器病に向けた取組みとして、国立循環器病センターや日清食品などのほか、スタートアップや弘前大学や京都大学など大学とも積極的に連携し、QOLを支援するためのエコシステムの構築を図っている。スタートアップとの連携については明治安田未来共創ファンドを通じて積極的に出資を進めている。 また、自治体との連携についても積極的に進めており、直近発表したニュースリリースによると、冒頭で記載した「My Mutual Way 2期」における2大プロジェクトのうち、「地域活性化」に向けた取組みとして、地域の自治体や企業・団体と連携し、地域住民と地域の資源・コミュニティを結びつけることで、「地方創生の推進」への貢献をめざす「地元の元気プロジェクト」を推進している。 具体的には公民館や道の駅などで地域住民向けに心身の健康保持・増進に向けた取組みを進めている。このほか、祭事への助成や運営参画、学校での金融・保険教育など未来世代の応援、そして法人向け保険に関連した取組みとして、協会けんぽと連携した中小企業向けの健康経営サポートなどに取組んでいるとする。 2024年9月末時点での累計で1,013の自治体(市町村など)と連携協定を締結、「地元の元気プロジェクト」への参加者数は392.9万人が参加したとされ、こちらを読まれている方の中には参加された方もおられるかもしれない。 こうしたエコシステムは、いわゆる非保険分野を拡充、まさに生命保険の機能拡張に向けた基盤固めといえる。